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2025/09/12 |  社員ブログ

再生可能エネルギーで実現する、サステナブルな建築

地球温暖化やエネルギー資源の減少や枯渇といった課題が、かつてないほど私たちの暮らしに直結しています。記録的な猛暑、激甚化する自然災害、そして電力料金の高騰。これらはもはや「遠い国の話」ではなく、日々の生活そのものに影響を及ぼしています。
こうした状況の中で注目されているのが、「サステナブル建築(持続可能な建築)」です。再生可能エネルギーと建築設計の融合によって、どのように環境負荷を抑え、快適性と機能性を両立した空間が実現できるのか。その考え方とこれからの展望について考えてみます。

- 目次 -
CONTENTS

1.建築における再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱、バイオマス、水力など、自然界に常に存在する枯渇しないエネルギー資源を指します。これらは、化石燃料のように燃焼時にCO₂を排出せず、地球環境に優しいという大きな利点があります。
建築分野では主に以下のような技術が活用されています。
■ 太陽光発電
建物の屋根や壁面に設置した太陽光パネルで電気をつくり、日中に発電した電力を施設内で使用したり、余剰電力を蓄電池に保存して夜間に使うといった運用が可能です。最近では外壁材と一体化した「建材一体型太陽電池」なども登場し、壁面を利用しつつ、意匠性を損なわずに発電するデザインも注目されています。
■ 太陽熱利用
太陽の熱エネルギーを利用して給湯や暖房に活かす仕組みです。電気ではなく熱そのものを活用するため、非常に効率のよい省エネ手法と言えます。
■ 地中熱ヒートポンプ
地中は季節を問わずおおむね15℃前後と安定した温度を保っており、夏は冷房に、冬は暖房に活用できます。地中熱を利用したヒートポンプシステムは、従来の空気熱源型よりも効率的で、商業施設や公共施設を中心に導入が進んでいます。
■ バイオマス・小水力など
地域に応じて木質バイオマス(間伐材や農業残渣)や、河川の流れを活かした小規模水力発電など、地域資源に根ざした再生可能エネルギーの活用も進められています。
これらのエネルギー技術を建築に組み込むことで、建物が自らエネルギーを「生産」し、消費エネルギーを相殺する**ZEB(ゼロエネルギービル)やZEH(ゼロエネルギーハウス)**が実現可能になります。これらは、単なる省エネを超えて、建物が“エネルギーの生産拠点”となる未来のスタンダードとして期待されているそうです。

2.設計段階からサステナブルを意識する

再生可能エネルギーの導入は、後から機器を取り付けるだけでは本当の効果は得られません。設計の初期段階から、環境やエネルギーの視点を組み込むことが不可欠です。
では、具体的にどのような工夫が求められるのでしょうか?
■ 日射と風を活かす「パッシブデザイン」
機械設備に頼らず、自然の力を最大限活かす設計手法が「パッシブデザイン」です。
たとえば、南向きの開口部を大きく取り、冬は太陽の熱を取り込み、夏は庇(ひさし)やルーバーで直射日光を遮る。これは単純なようでいて、季節や太陽の高度を計算に入れた緻密な設計が必要です。
さらに、建物の配置や窓の位置を工夫することで、自然な風の通り道をつくり、冷房に頼らず快適な室内環境を実現することも可能です。
■ 高断熱・高気密によるエネルギー効率の最適化
再生可能エネルギーを活かすには、建物そのものの性能向上が前提です。いくら発電効率が良くても、建物がエネルギーをどんどん逃がしていては意味がありません。
そのために重要なのが、外壁や屋根、窓などに用いる建材の断熱性能です。最近では、真空断熱材やトリプルガラスのサッシなど、より高性能な建材も増えています。また、すき間風を防ぐ高気密化によって、冷暖房の効率も大きく向上します。
■ 設備容量の最適化とコスト削減
設計段階から建物全体のエネルギーバランスを把握することで、必要な太陽光パネルの枚数や蓄電池容量を無理なく最適化できます。結果として、初期投資を抑えながら長期的なランニングコスト削減にもつながる、経済性と環境性の両立が可能になります。

3.再生可能エネルギーを活用した建築事例

実際に、全国各地で再生可能エネルギーを活かした建築の取り組みが進んでいます。公共施設では、ZEB化を目指した庁舎や学校が増加中しています。
太陽光発電や、蓄電池を用いることで非常時の電源確保としても評価されています。また集合住宅では、太陽光発電で共用部の電力をまかない、住民の光熱費負担を軽減。医療・福祉施設では、24時間稼働のための省エネと再エネ導入が、経済性と快適性の両面で重要視されています。
さらに、再生可能エネルギーの設計には地域性への配慮も欠かせません。たとえば、大阪のような都市部では、夏の高温対策として日射遮蔽と夜間通風の両立が求められます。一方、山間部では地中熱の利用や地域材を活かした断熱構造など、気候・風土に応じた「地産地消の建築設計」が、地域の持続可能性にも貢献します。

4.まとめ

これからの建築に求められるのは、環境に優しいだけでなく、長期的なコストメリットや地域社会への貢献を両立できる価値ある建築です。私たちは、建物、土地の「未来価値」を高めるパートナーとして持続可能なまちづくりを目指していきます。再生可能エネルギーを活用したサステナブルな建築は、単なる技術革新ではなく、社会全体のあり方を見直す第一歩でもあります。建物は、一度つくられると何十年にもわたって社会と関わり続ける存在です。だからこそ、エネルギーの選び方や設計の工夫ひとつひとつが、将来の地球環境や地域社会に大きな影響を与えます。技術は進化し、導入のハードルも年々下がっています。今こそ、再生可能エネルギーと建築を融合させ、人と地球にやさしい建築を次世代へとつないでいく時です。豊和開発はこれからも、環境・経済・地域が調和する建築を目指し、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。