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2025/05/02 |  社員ブログ

「高額療養費制度と医療費控除の違い 〜自己負担と税金の還付制度〜」

こんにちは,豊和開発株式会社 営業の橋本隆行と申します。当社は、土地オーナー様の大切な資産である土地を、最大限に有効活用していただくためのコンサルティングや福祉施設などの設計施工のご提案を行っております。

最近、土地オーナー様との会話の中で、医療費に関する制度について誤解されているケースを多く耳にいたします。特に「高額療養費制度」と「医療費控除」を混同している方が少なくありません。
たとえば、「月をまたいだから高額療養費制度が使えない」「月に10万円を超えていないから申請できない」などの声を聞くことがあります。これらの認識は一部正しい部分もありますが、制度の本質を正しく理解することで、実際にはより多くの恩恵を受けられる可能性があります。

営業活動の中でも、こうした誤解を正し、制度の適正な活用によって医療費の負担を軽減する方法をご案内することは、土地オーナー様や納税者にとっても非常に有益だと感じております。

そこで今回は、意外と知られていない「高額療養費制度」と「医療費控除」の違いと、それぞれの正しい活用方法についてわかりやすくご説明いたします。

- 目次 -
CONTENTS

1.高額療養費制度と医療費控除の勘違い

この2つの制度はどちらも医療費でのご家庭における経済的負担を軽減するために設けられたものですが、性質や仕組みがまったく異なります。
高額療養費制度は、健康保険制度に基づいた給付制度であり、同じ月内に医療機関で支払った自己負担額が所得に応じた上限を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。急な入院や手術など、高額な治療が短期間に発生した際に真価を発揮します。

 

一方の医療費控除は、税金(所得税)に関する制度で、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を通じて所得控除が適用されることで税金が還付される仕組みです。慢性疾患で長期通院している場合や、家族の医療費が重なって多額になったケースに適しています。
どちらの制度も併用が可能で、たとえば高額療養費制度により健康保険から払い戻しを受けた後、残った自己負担分について医療費控除を申請することができます。これは特に税金対策に関心のある土地オーナー様にとって、税金を賢く減らすための一つの選択肢とも言えるでしょう。

2.高額療養費制度は自己負担額の払い戻し

高額療養費制度では、保険診療の3割負担を基本としつつ、月ごとに支払った医療費の自己負担額が、所得水準に応じた上限を超えた場合、その超過分が後日払い戻されます。
たとえば年収が370〜770万円程度の方であれば、月の自己負担上限はおおむね8万〜9万円程度です。これを超えた額については、申請を行うことで健康保険から返還されます。さらに、同一世帯(本人及び被保険者)で複数人が治療を受けた場合は「世帯合算」が可能で支払額を合算して限度額を超えれば、その分も対象になります。
また、過去1年間に3回以上高額療養費制度の給付を受けていると「多数該当」となり、4回目から自己負担限度額がさらに引き下げられます。申請手続きを簡便にするためにも、「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、病院の窓口での支払いが最初から限度額に抑えられ、後からの払い戻し手続きが不要になるというメリットもあります。(限度額適用認定証でもって医療を受けた場合でも、申請することで医療費の払い戻しを受けらるケースもあります)

3.医療費控除は税金の還付

医療費控除は、1月から12月の1年間に支払った医療費が10万円、または所得の5%を超えた場合に、その超過額を所得から差し引くことで、結果として支払う税金が減る、もしくは払いすぎた税金が還付される仕組みです。
この控除には上限(200万円)がありますが、適用対象となる費用は非常に幅広く、診療費や入院費はもちろん、薬代、妊娠・出産に伴う費用、通院にかかる交通費(公共交通機関に限る)、さらには医師の指示による鍼灸・マッサージ・整体なども含まれます。また、介護保険制度下の負担についても医療費控除の対象となるものがあります。
ただし、美容整形や市販の健康食品・サプリメントなど、治療目的でない支出は対象外となります。また、確定申告が必要であり、年末調整では対応できません。したがって、土地オーナー様をはじめとする多くの納税者の方々には、日頃から医療費の領収書や明細書をきちんと保管することをおすすめいたします。

4.まとめ

高額療養費制度と医療費控除は、どちらも医療費の経済的な負担を軽減するための重要な制度ですが、それぞれの性格や仕組みには明確な違いがあります。
〇高額療養費制度:健康保険に基づくもので、月ごとの自己負担額が一定の上限を超えた場合に払い戻しを受ける制度。急な入院や高額な手術費用など、短期間に医療費が集中した場合に有効です。
〇医療費控除:1年間の医療費総額に応じて所得税が軽減される税金の優遇措置。慢性的な通院や、家族全体の医療費がかさんだ場合に有効です。
どちらの制度も併用可能で、制度の理解と活用次第で、結果的に家計へのダメージを最小限に抑えることができます。特に、医療費以外にも所得税や固定資産税など、多くの税金負担を抱える土地オーナー様にとって、これらの制度を正しく理解し適正に利用することは、資産保全のためにも非常に大切です。
私たち豊和開発は、日々の営業活動で土地活用のご提案だけでなく、こうした制度の正しい情報提供を通じて、土地オーナー様の暮らしと財産を守るお手伝いをしていきたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。