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2021/10/16 |  社員ブログ

消費税インボイス制度について

令和5年10月1日より消費税の「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が始まります。
この制度ですが、経理担当者はもちろん、経理以外の社員にも理解して頂く必要があります。
どなたでも理解して頂けるよう、制度の概要をまとめたのと、経理担当者として、施行まで、また施行後に対応すべきことをまとめましたので、参考にしてください。

- 目次 -
CONTENTS

1.消費税の仕組み

インボイス制度を理解するには、消費税の仕組みを理解する必要がありますので、まずは、消費税の仕組みについて簡単にご説明致します。
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に関して、広く公平に課税され、名前の通り最終的に消費者が負担する税金です。
普段、消費者として物やサービスを購入する際、本体価格に消費税が上乗せされた代金を支払うだけですので、その先を考える必要はありません。
では、誰が消費税を納付するのかというと「事業者」(納税義務者)が納付します。
事業者として顧客に物やサービスを販売する場合、本体価格に消費税を上乗せした代金を受け取り、受け取った(預かった)消費税を国に納付する必要があります。
事業者は、単純に預かった消費税を納付するのではなく、預かった消費税から、事業者として支払った消費税を差引したものを納付します。
つまり、預かった消費税-支払った消費税(「仕入税額控除」といいます。)=消費税納付額となります。(図①をご参照ください。)
この「仕入税額控除」がインボイス制度におけるポイントとなりますので、この言葉を覚えておいてください。

2.インボイス制度(適格請求書等保存方式)について

インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に対して、正確な消費税適用税率、消費税額を伝えるために一定の事項が記載された書類(請求書や納品書等)のことを言います。(図②をご参照ください。)
このインボイスを交付、保存する方式をインボイス制度と言います。当制度施行後(令和5年10月1日以降)、仕入税額控除を受けるためには、「インボイスの保存」が要件となります。
インボイスは「適格請求書発行事業者」しか交付できません。
「適格請求書発行事業者」となるためには、税務署に「適格請求書発行事業者届出書」を提出し、登録を受ける必要があります。
※消費税課税事業者でないと、登録は受けられません。(=免税事業者は登録が受けられません)
適格請求書発行事業者は取引の相手方の求めに応じて、インボイスを交付する義務及び、交付したインボイスの写しを保存する義務があります。(交付を受けた側が請求書等を保存する義務は現在もありますが、交付した側が写しを保存する義務が生じることが今回の変更点の一つです。)
つまり、適格請求書発行事業者でない先に対する支払いは仕入税額控除は認められません。
経理担当者以外の方がイメージしやすいよう、仕入税額控除が受けられる場合と、そうでない場合を考えてみます。
例:事業者が110円(税込)のペンを仕入れ、330円(税込)で販売した場合
☆仕入先が適格請求書発行事業者の場合
預かった消費税30円-仕入税額控除10円=消費税納付額20円
☆仕入先が適格請求書発行事業者でない場合
預かった消費税30円-仕入税額控除0円=消費税納付額30円
上記例の通り、仕入税額控除が適用できないと、消費税納付額が増えます。
※上記例は「一般(原則)課税」の場合の計算です。また、法人税・所得税への影響は考慮しておりません。(消費税と、法人税・所得税のトータル納付額で考えた場合でも仕入税額控除を適用したほうが一般的に有利になります。)
ということで、仕入税額控除ができないことで、消費税納付額が多くなることから、免税事業者との取引を回避しようという考えが働くことは容易に想像できます。

3.インボイス制度の経過措置について

突然「免税事業者に対する支払いは仕入税額控除ができない!」となると、影響が大きいことから、インボイス制度には、経過措置が設けられております。
具体的には、免税事業者に対する支払いに対して、
制度開始(令和5年10月)から令和8年9月末までは80%仕入税額控除可
令和8年10月から令和11年9月末まで50%仕入税額控除可
となります。(令和11年10月からは全額仕入税額控除不可)
免税事業者の方はこの経過措置の間に課税事業者を選択して適格請求書発行事業者になるのかどうか、検討することになりそうです。

また、そもそもインボイスを発行することが困難な取引に対しては、インボイスの交付義務が免除されます。
例えば、自動販売機での売買、郵便ポストに差し出された郵便サービス、公共交通機関による運送の取引等があります。

4.インボイス制度への対応(経理担当者の方へ)

このインボイス制度に対応するため、経理担当者としてすべきことは(消費税課税事業者と仮定して)
制度施行前
①適格請求書発行事業者の申請をし、登録を受けること
(制度開始当初から登録を受けるためには、令和5年3月31日までに申請必要)
なお、この申請は、令和3年10月1日から申請受付を開始しております。
②インボイスを発行できるよう準備しておくこと(請求書雛形の改定など)
③社内に対する周知
④取引先に免税事業者がないかの確認
制度施行後
①交付を受けたインボイスに則り、適切な会計処理、税務処理を行う
※制度開始から6年間は前述の通り、経過措置があるため、それも念頭にいれての経理処理
②売り手側の場合、交付したインボイスの写しを保存
③買い手側の場合、交付されたインボイスを保存

なお、制度施行後の①「会計処理」を想像してみましたが、
会計ソフトを使用している場合、今は、消費税区分を「課税10%、軽減8%、非課税、対象外・・・」等で処理しているかと思いますが、このインボイス制度が始まったら、さらに「課税10%(免税事業者80%)」や「軽減8%(免税事業者50%)」といった複雑な税区分が登場することになるのでしょうか・・・
制度の開始が近づいたらこのあたりの情報も出てくると思うので、しっかりチェックしたいと思います。

5.最後に

インボイス制度の開始は令和5年10月1日からですので、まだ余裕があるように思われます。あらゆる事業者が影響は受ける制度であるからこそ、まだ余裕がある段階で、国から周知がなされております。今回のコラム作成により、理解を深めることができましたが、実務としてはこれからすべきことがありますので、あらためて復習し、準備を進めていこうと思います。
少しでも皆様のお役に立てたなら幸いです。
【豊和開発株式会社 経営企画部 木村】