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2024/04/12 |  社員ブログ

用途地域と土地活用

今年は、コロナ明け初の「お花見」シーズンという事で、大きな経済効果が期待されています。 4月は新入生、新入社員が学校や、企業に加わりますので、「新歓コンパ」を兼ねて、お花見を利用される方々も多いのではないでしょうか?

営業本部にも今年、3名の新卒社員が加わり、新しいスタートを切りました。

私も久しぶりに社員研修の講師として、土地活用の基本である、「物件調査」のパートを担当しました。その中で、地図を広げながら、物件探しの目安となるポイントを説明させて頂いたのですが、意外と「建ぺい率」や「容積率」と共に、「用途地域」というのが、土地活用提案には重要なキーワードとなることに、改めて気付かされました。

私の中では、日頃慣れてしまって、あまり気にせず物件調査に出ていたのですが、これを機に、基本に返って確認してみたいと思います(不定期連載させて頂きます)。

- 目次 -
CONTENTS

1.市街化調整区域

私たちが土地活用提案を行う際に、切っても切れない法律が「都市計画法」です。

土地計画法は、無秩序な土地の開発を防ぐための法律であり、計画的な都市の開発を促す法律です。この都市計画法の中で、私たちが日頃土地活用提案している都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれます。

 

以前、寝屋川市で面談した地主様の奥様から、「堺市に、里(実家)から相続した、コンビニ店舗があるのだが、もうすぐ契約期間が満了し、更新しないと言われている。どこかに借りて貰えないだろうか?近くにはペットショップがあり、動物病院等が良いと思う」と相談を受けた事がある。

物件を確認すると、さすがに20年間コンビニエンスストアが営業して頂けあって、比較的交通量の多い生活道路に面していて、沿道には飲食店や物販店舗(スーパー)が営業している。確かに物件の前面道路を挟んで向かい側に、大きなペットショップがあった。

 

前面道路に沿った地域は「市街化調整区域」であり、市街化調整区域とは、都市計画法(第7条第3項)に基づき、都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域の事で、開発行為(原則不可)や、建物の建築が制限されています。

市街化調整区域では、規模の大小にかかわらず、開発行為には、原則として都道府県知事からの開発許可が必要で、開発許可を受けている場所以外では、都道府県知事の許可を受けなければ建築物の新築、第一種特定工作物の新設が出来ません。

今回のご相談の場合、既存建物の新たな借主探しなのですが、市街化調整区域で営業しても良い業態となると限られています。役所に確認したところ、奥様からお話のあった「動物病院」はこれに当てはまりませんでした。

2.市街化調整区域の土地活用はタイミング?

このような市街化調整区域での土地活用相談を受けるケースは少なくなく、今回の物件のように、比較的道路付けも良く、広大な敷地であっても、なかなか有効活用を成就することは出来ません。

市街化調整区域では、住民が利用する公益施設(学校,社会福祉施設,医療施設)又はこれら住民の日常生活に必要な物品を販売する小規模な店舗や自動車、農機具修理場等の建築物が許可されています。

しかし医療施設の建築が許可されると言っても、どの場所でも、やみくもにという訳ではなく、「競合がなく、必要性が高い」、「周辺人口が一定の基準以上に多い」等の条件付きで、「クリニック」や「病院」の建築が許可されたり、特別養護老人ホームはOKでも、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は不可であったり、認可保育所(認定こども園)は建築できても、そもそも市街化調整区域は人口の少ない郊外が多いので、その場所に認可保育所が必要なのかどうか?という話になります。

 

当社では、基本的には物件調査の段階で、市街化調整区域は外しますが、特別養護老人ホーム(広域型)や認定こども園の募集のタイミング、病院の移転先依頼等、広大な土地が必要とされる施設用地探しの際には、周辺人口や、道路状況等を加味しながら、市街化調整区域をターゲットとして、物件調査を行う事もあります。

3.用途地域とは?

市街化調整区域に対して、既に市街地を形成しているエリアを市街化区域といい、その区域内の土地使用の用途を分けて指定しているのが用途地域です。

用途地域は都市計画法の地域地区のひとつで、住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、用途の混在を防ぐことを目的として、第一種低層住居専用地域など13種類の地域があり、都市計画法に基づいて、おおむね5年に一度、全国一斉に見直されています。

また、用途地域における用途の制限(用途制限)に関する規制は、主に建築基準法令の規定に準じています。どの場所が、何の用途地域に指定されているかは、各地方自治体で作成された都市計画図で確認できます。

 

各用途地域では、各々指定した目的に応じて、

①建物の種類
②建ぺい率(真上から見た場合の、敷地に対する建物の面積)
③容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積)
④高さ制限(第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)
⑤前面道路幅員別容積率制限(道路幅員に乗ずる数値)
⑥道路斜線制限
⑦隣地斜線制限
⑧日影規制

などが決められており、その地域で建築できる建物の種類や規模等が制限されるので、私たちの土地活用提案の方向性も絞られてしまいます。

4.建物の規模を決める建ぺい率と容積率

以前、川西市の地主様に、住宅型有料老人ホームでの土地活用の相談をさせて頂いていた際に、相談していた物件については、権利関係などが複雑で、活用するのは難しいとのことで、「もう、誰も利用していない土地が他にあるので、そちらでなら、相談に乗るよ」と敷地面積150坪程度の別の所有物件をご紹介頂きました。

場所を調べて見ると、半世紀程以前に開発されたニュータウンの住宅地で、用途地域の指定は「第一種低層住居専用地域」。

第一種低層住居専用地域で、住宅型有料老人ホームを建築出来ない訳ではありませんが、建ぺい率50%、容積率100%では、目的とする規模の施設を建築する事は叶わないことから、辞退するしかありませんでした。

また、物件調査で交通量の多い旧国道沿いの350坪の物件を見つけ、周辺に商業テナントがないので「しめた!」と思っても、用途地域の指定が「第一種中高層住居専用地域」の為、営業できる店舗が制限されていたりすることもあります。

 

このように、その土地受けている、用途地域の指定によって、私たちが行う土地活用提案も大きな影響を受けることになります。

つづく…【営業本部・田宮】