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2022/03/04 |  社員ブログ

建築でも重要!省エネ

こんにちは。私は豊和開発の設計監理部に所属している山本と申します。
近年、「省エネルギー」、通称「省エネ」という単語を聞くことが増えてきました。「省エネ」は、有限である石油、石炭、天然ガスなどのエネルギーを効率よく使っていこうという事です。また、多くのものの製造にもエネルギーを消費する為、製造されるもの自体を減らすという事も「省エネ」につながります。コンビニやスーパーでビニール袋が有料になり、エコバックを持つようになったという事も、プラスチック製品の製造量を減らす取り組みからでもあります。そんな「省エネ」ですが、当社が行っている建築にも大きく関わっております。

- 目次 -
CONTENTS

1.「建築物省エネ法」って?

今回は建物を建築する上で重要な法律の1つ、昨年の2021年4月1日から改正されました「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」通称「建築物省エネ法」、についてご紹介したいと思います。建築に関わらないとあまり聞かないかもしれませんが、政府は2020年末に、2050年の温室効果ガス排出量をゼロにする事を目的とした、工程表「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。それに追従し、2021年4月に「改正建築物省エネ法」が施行され、改正以前は省エネ基準「届出義務」であった床面積の合計が300㎡以上の非住宅建築物に省エネ基準「適合義務」が設けられることになりました。また床面積の合計が300㎡未満の非住宅建築物については省エネ基準「説明義務」が設けられ、床面積の合計が300㎡以上の住宅・共同住宅については今までどおり省エネ基準「届出義務」、合計が300㎡以下の住宅・共同住宅には新たに、省エネ基準「説明義務」が設けられました。今回の改正では、「適合義務の対象拡大」と「説明義務の新設」となり、建築物に対する省エネ適合に関し、厳しくなったという事です。

2.「届出義務」「適合義務」の違いって?

では、今回の改正のポイントとなっています、「届出義務」と「適合義務」の違いとは何なのかを簡単にご説明させて頂きます。「届出義務」については、工事に着手する21日前までに、「届出に係る省エネ計画」を所管行政庁に届出なければなりません。内容によって、計画変更の指示や命令が行われ、命令違反や虚偽の届け出をし、工事に着手したときは、罰金が科されることもあります。「適合義務」については、建築基準法に基づく建築確認及び完了検査が対象となり、省エネ基準に適合しなければ建築物の工事着工や建築物の使用ができなくなります。適合が義務化されたことで、外壁の断熱材、高断熱性の窓設置、高効率の空調や発光ダイオード(LED)照明の導入などが求められるようになりました。また、適合義務化に伴い、完了検査の確認対象にもなっていますので注意が必要です。
「適合義務」となったことで、中規模の非住宅も「建築物エネルギー消費性能適合性判定」通称「省エネ適判」が必須となり、省エネ計算が新築の計画時にはに欠かせない業務の1つになりました。

3.「省エネ適判」とは?

「届出義務」と「適合義務」の違いについては先程簡単にご説明させて頂きました。前項の最後に出てきました、「適合義務に」必要となる、「建築物エネルギー消費性能適合性判定」通称「省エネ適判」、について説明させて頂きます。「省エネ適判」は、建築物の新築・増改築時に国が定めている省エネ基準に正しく適合しているかを、その設計内容と共に第三者が判定することを言います。先程もありましたが、建築物の断熱性能の向上や設備機器の効率化を図るために、床面積の合計が300㎡以上の非住宅建築物に省エネ適判を受けることを義務付けられています。
「省エネ適判」は、都道府県知事や市町村長などの所管行政庁。または、国土交通大臣が登録する省エネ適判機関(登録建築物エネルギー消費性能判定機関)が担います。
省エネ基準への適合は空調や冷暖房機、給湯設備などの機器類が消費するエネルギー(1次エネルギー消費量)によって判定されます。1次エネルギー消費量を基に算定されるBEI(省エネルギー性能指標)が基準値を下回っていれば適合となります。
「省エネ適判」の特徴として、建築確認手続き、完了検査と連動している点が上げられます。「確認申請」には所管行政庁などが交付する「省エネ適合判定通知書」が必要になり、省エネ基準への適合が認められない場合は、「確認済証」が交付されず、建築の着工ができません。
また、完了検査時には、「省エネ適判」を受けた省エネ計画の内容に沿って工事が行われているかを、省エネ基準工事監理報告書や目視にて確認・検査します。そのため、工事監理者は設計図書に明示した建材や設備の仕様などに合致している工事が行われているかを納入仕様書などで確認する必要があります。特に「省エネ適判」後の計画変更時には再判定が必要なケースもあるので注意が必要になってきます。

4.「省エネ評価方法」について

省エネ計算を行う方法について簡単にご説明いたします。改正建築物省エネ法における非住宅建築物の省エネ評価方法は、評価へ導く為の支援ツールが公開されています。「標準入力法」「モデル建物法」「小規模版モデル建物法」などがあります。
私が実際に行った事がある評価方法は、「モデル建物法」です。「モデル建物法」では、入力項目が約90ほどあり、数値や使用されてる部材の仕様毎に設定されている数値等を入力する必要があります。外壁の構成材となっている断熱材や空調室外機については全てが計算対象となっており、照明や給湯器等は、対象面積に含まれるもが計算対象となっています。モデル建物法による計算プログラムは、国立研究開発法人建築研究所のホームページよりダウンロードが可能で、専用フォームより、基本情報、外皮(壁・建具)、空調、換気、給湯、照明等を入力していき、入力が完了すると、WEB上で計算が行われて、省エネ計算結果が表示されます。この計算結果を、省エネ評価とします。

5.まとめ

今回は、「省エネ法」および、それに関連する「届出義務」、「適合義務」、「評価方法」についてご紹介させて頂きました。法が改正され、建築物に応じて通常の申請業務と併せて、「省エネ法」による申請が必要になってきます。申請に不備ががありますと、是正の命令や罰則、建築物の使用が認められないなど、建築工程に大きな影響を及ぼす恐れがあります。新たな法律に応じた対応となりますので、注意しながら確認申請や、検査対応等を行ってまいりたいです。長文となりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。