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2023/01/27 |  社員ブログ

とっても重要!周辺環境への配慮 ~斜線制限編~

こんにちは。私は豊和開発の設計監理部に所属している山本と申します。
前回は日影規制について取り上げさせていただきました。今回は、近隣への日照・採光・通風の確保を目的とした【斜線制限】についてご紹介します。
近隣の特に隣地や道路に対して日照・採光・通風を確保し、圧迫感を和らげる目的で、一定の制限がかかってきます。
今回は、そんな建築をする上で重要な建築基準法上の制限の1つ、【斜線制限】(しゃせんせいげん)についてご紹介していきます。
斜線規制には、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限の3つの種類があります。順番にご説明させて頂きます。

- 目次 -
CONTENTS

1.「道路斜線制限」って?

道路斜線制限とは、道路側に面した建物部分の高さの制限のことです。敷地に接している道路の幅員に基づいて道路反対側から発生する架空の斜めの線による高さの制限で、建築物を建てるときは、高さがこれらの斜線を超えないように設計しなければなりません。
具体的には、敷地と接する道路の反対側の境界線までの距離の1.25倍(主に住居系)または1.5倍(主に住居系以外)以下に建物の高さは制限されます。(用途地域によって変わりますのでご確認ください)
ただし、道路から一定距離(適応距離・適用距離)だけ離れたところからは制限がなくなり、直線的に建てることができます。
また、道路斜線には状況に応じて、「セットバック緩和」「1.25緩和」「2方道路緩和」「水面緩和」「高低差緩和」の5つの緩和があります。それ以外にも「天空率を使った緩和」もあります。

2.「隣地斜線制限」って?

隣地斜線制限とは、隣地側に面した建物部分の高さの制限のことです。敷地の周囲にある隣地境界線から発生する架空の斜めの線による高さの制限で、建築物の高さがこれらの斜線を超えないように設計しなければなりません。
具体的には、20mまたは31mの基準の高さから、隣地境界線までの距離の1.25倍(主に住居系)または1.5倍(主に住居系以外)に建物の高さが制限されます。第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域は、建築物の高さが原則として10mまたは12mに制限される絶対高さ制限があるため、隣地斜線制限は適用されません。
また、隣地斜線制限には「セットバック」「水面」「高低差」の3つの緩和があります。それ以外にも道路斜線と同様に「天空率を使った緩和」もあります。

3.「北側斜線制限」って?

北側斜線制限とは、北側の道路側または北側の隣地側に面した建物部分の高さの制限のことです。敷地の北側にある道路や隣地境界線から発生する架空の斜めの線による高さの制限で、建築物の高さがこれらの斜線を超えないように設計しなければなりません。
具体的には、5mまたは10mの基準の高さから、北側境界線までの距離の1.25倍(主に住居系)または1.5倍(主に住居系以外)に建物の高さが制限されます。第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域・田園住居地域にしか適用されません。ただし、日影規制があるときは、第1種・第2種中高層住居専用地域に北側斜線制限は適用されません。
また、北側斜線制限には「道路」「水面」「高低差」の3つの緩和があります。それ以外にも道路斜線、隣地斜線と同様に「天空率を使った緩和」もあります。ただし、真北側が道路境界線であった場合、天空率が適用できなくなるので注意が必要です。

4.「斜線制限」「高度地区」の違いって?

斜線制限は、建築基準法で規定される必要最低限の全国的なルールになります。
高度地区は、都市計画法で規定されるルールとして自治体が必要に応じ決定するものです。高度地区には最高限度高度地区(最低高さ制限)と最低限度高度地区(最高高さ制限)があります。しかし、最低限度高度地区の割合は全体の1%に満たないと言われている為、一般的に高度地区というと最高限度高度地区のことを指します。

最高限度高度地区は、主に北側隣地の日照保護や通風などを目的として定められるものです。そのため、北側斜線制限にも似ていますが、それよりも厳しいものとなっており、両方の規定がある地域(第1種低層住居専用地域など)では、厳しい方の規定が優先して適用されます。
高度地区の高さ制限は、自治体ごとに異なる基準を定めているので、共通の規制はありません。緩和についても各自治体ごとに基準が異なりますので、その都度確認が必要です。
また、原則として天空率は使えませんので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか?
簡単にではありますが、斜線制限についてご紹介させて頂きました。
この記事を読んでより意識して頂けましたら幸いです。
また、各地方公共団体の決まりが多い分野になると思いますので十分注意して計画を行っていきましょう。

最後までお付き合い頂きありがとうございます。