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2022/02/18 |  社員ブログ

建築 と 景観

建築設計とは地図に残る仕事であり、その分苦労も多いですが竣工時は大きなやりがいを感じることが出来る仕事です。地図に残るということはその分、周辺環境や景観に与える影響も大きいという事になります。建物を設計するにあたり、建物を使う人にとっていい物にするのは勿論、周辺に住む人、物、環境、景観等の全てにとって良い影響を与える物としなくてはなりません。弊社では新築の建築設計業務がほとんどですので、設計する際には常にこれらの事を考える必要があります。国や地方自治体としても自然環境保全やヒートアイランド現象の緩和を推し進めるべく、様々な法律や条例を設けています。その中でも今回は建築と緑に関する条例等を設計監理部の大谷章が紹介していきたいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.条例で定められた緑化制度

各都道府県や市町村などエリアの違いや、建物や開発敷地面積などによって様々な整備基準があります。
 今回は弊社の所在地である大阪府・大阪市を例に挙げさせていただきます。
 まず大阪府では「建築物の敷地等における緑化制度を促進する制度」というものがあります。1,000㎡以上の敷地において建築物の新築・改築、又は増築を行う際に緑化を義務づけるものです。敷地面積と建築面積によって緑化面積を算出し、地上部分や建物の屋上部分で必要緑地を整備するとゆうものです。ただ、必要緑地面積を確保出来ればいい訳ではなく決められた基準以上の大きさの樹木・本数を適切に植樹し届出を行わなくてはなりません。
 大阪市では「建築物に付属する緑化等に関する指導」「大阪市みどりのまちづくり条例」があります。この2つの違いとしては、新築・増築、改築を行う際の敷地面積が500㎡以上1,000㎡未満の場合は「建築物に付属する緑化等に関する指導」の届出が必要になり、敷地面積が1,000㎡以上の場合は「大阪市みどりのまちづくり条例」に基づく届出が必要になりる点です。「建築物に付属する緑化に関する指導」では敷地面積の3%以上の緑地、建物の用途に住宅が含まれる場合には敷地面積の3%以上の緑地の他、当該敷地内にその面積の3%以上の公園又は広場を設置しなくてはなりません。「大阪市みどりのまちづくり条例」の主な内容としては敷地面積の3%以上の緑地面積を整備することや植樹密度などにも細かな規定があります。これらの届出は完了検査、もしくは完了届といった形で届出通り工事がなされているかの確認があります。緑地での確保が難しい場合は、自然環境保全の一貫という位置付けから太陽光パネルの設置による代替え処置を取る場合があります。実際はここに記載している内容のほかにも細かな基準が定められています。

2.その他のケース

その他にも建築基準法第59条の2、他(敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例:総合設計制度)を適用する為にも緑地や空地に対する基準があります。この制度は敷地面積が一定規模以上で、敷地内に一般に公開された空地を確保する等、市街地環境の整備改善に役立つと認められる建築物について、建築基準法による容積率、高さに関する規制の一部を緩和する事が出来るというものです。この制度の適用条件はいろいろありますが、例えば接道している道路に沿って幅2.5m以上の歩道を整備すること。建築物の各部分から敷地境界までの水平距離が建物高さの平方根の1/2以上となる空地を設けること(公開空地という)。公開空地内にその実面積の20%以上を緑化施すこと。といったような適用条件があります。建築基準法にも環境に配慮することにより規制緩和することの出来る精度が定められていることからも建築が周辺環境や街並みに大きな影響を及ぼすことが伺えます。

3.緑化の種類

「緑化」と言っても地上に花壇を作り植樹する方法だけが緑化ではありません。すでに広く知られてきていると思いますが、建物の屋上を緑化する方法や壁に蔦植物を這わす方法、壁面緑化用のシステムを導入する方法などもあります。建物を緑化する事で自然環境保全の役割だけでなく、直射日光が室内に入るの和らげたり、多少の遮熱・断熱効果といった省エネの観点からも有効的です。現在では屋上緑化システムの開発も進み管理が簡単に出来るよう自動散水システムを組み込んだ商品が様々なメーカーから発売されています。屋上に養蜂場や畑を作り、そこで収穫できたものを商品化するというような事例もよく聞くようになってきています。建物以外でも車の駐車スペースを緑化ブロックにより緑地とする方法など様々緑化の方法があります。

4.まとめ

以上のように、大阪府下だけでも、敷地面積や建物規模・用途によって異なる緑化基準が定められており届出が必要となっています。全国規模でいいますと、更に多様な基準や制度があることでしょう。設計業務を行う上では届出を行う手間や建築コストがかかるという難点はありますが、周辺環境への影響、美しい街並みを形成すること、もっと広い目で見ればヒートアイランド現象の緩和にも繋がる良い取り組みだと思います。緑地や広場を設けることにより、建物を使う人にとっても気持ちのいい空間を提供することも出来ますし、周辺環境についても人々が集い地域のつながりや交流を生む場となり得るものだと考えます。今後も建築は自然環境や美しい街並み、歴史といったものを壊してしまうものではなく、逆にそういったものを生み出していくものであるべきだという考えを持って建築設計業務に取り組んでまいります。