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2021/12/03 |  社員ブログ

鉄骨工事について

こんにちは。
私は豊和開発株式会社の設計監理部で、意匠設計と現場監理などを担当しております。今回は鉄骨造の建物の現場監理を行っていく中でも「鉄骨工事の監理業務」に着目して、ご紹介させていただこうと思います。
監理者は鉄骨製作材の納期から逆算して鉄骨製作要領書や工作図の作成、図面承認、鉄骨加工、組み立て、製品検査、出荷の工程を管理します。
鉄骨工事の監理は下記の流れで行います。
①鉄骨工事計画
②工場製作(鉄骨製品検査)
③現場施工(建方、本締め)
それでは、①鉄骨工事計画より順にご紹介させていただきます。

- 目次 -
CONTENTS

1.①鉄骨工事計画について

はじめに施工者が選定した施工計画や鉄骨製作業者が適切であるかを確認します。鉄骨製作業者は、設計図書に特記された加工能力等及び施工管理技術者の条件を満たしているか、工場認定グレードを指定がある場合はそのグレードを満たしているか、などを確認します。
次に工作図の確認を行います。工作図は鉄骨製作業者が作成する図面です。外壁やサッシ、設備など鉄骨と取り合いのあるすべての納まりを検討し、図面の承認を行います。工作図を確認する際は、施工手順や関連する工種の情報なども把握する必要があるので、まず施工者や鉄骨製作業者との意思疎通を図り、必要な情報を漏らさず反映しているかを確認し、足りないと思われる情報があれば施工者に適切に伝えることが必要となります。
また、鉄骨製作要領書の確認を行います。鉄骨製作要領書は鉄骨をどのような手順でつくるかを示した書類です。記載内容について一般的な項目を挙げると、①適用範囲・適用図書・準拠する基準、②工場の概要・組織、③工場製作の工程概要・使用材料、④切断・加工・組み立て、⑤本溶接、⑥製品検査、⑦製品の塗装・保管、⑧製品の輸送、などです。鉄骨製作業者が鉄骨の製造・品質管理をどのように行うかを事前に確認しておく必要があります。                           

2.②工場製作について(鉄骨製品検査)

工場製作段階では、工場にて製作中の鉄骨を検査します。鉄骨製品検査は鉄骨製作工場が行う社内検査と、発注者(監理者・施工管理者)が行う受け入れ検査との2種類があります。鉄骨製作工場の社内検査では、鉄骨加工業者が自主管理のためと要求品質の保証のために実施する検査です。柱・梁の寸法検査や部材、溶接部の外観検査、UT検査(工場溶接部超音波探傷検査)などの立会い検査を行います。この検査は基本的に全数検査となっています。受入れ検査では、鉄骨の部材が設計図書あるいは工作図の通りに製作されているか、現場施工が円滑にできるかを確認します。鋼材のミルシート確認や鉄骨製作業者の自主検査記録などの書類確認と、寸法検査や、外観検査、UT検査などの立会い検査を行います。書類検査ではミルシートに記載されている鋼材のJIS番号と鋼材種の確認や材料の確認を行います。寸法検査では長さ関係や径のサイズの確認を行い、外観検査ではキズなどの確認、UT検査では鉄骨内部のキズの確認を行います。受入れ検査は通常抜き取り検査となっています。受入れ検査での、超音波探傷による完全溶け込み溶接部の内部欠陥非破壊検査は、検査の公正を守るため、工場と利害関係のない第三者検査会社で実施します。検査の実施にあたっては、事前に検査項目や検査方法、判定基準を明確にし、前もって鉄骨製作要領書等にそれらを記述し、確認漏れのないようにすることが必要です。現場では十分な手直しが出来ないため、鉄骨製品検査は非常に重要となります。

3.③現場施工(建方、本締め)

工場で鉄骨製作が行われている一方で、現場ではアンカーボルトのセット、基礎工事、墨出し、ベースモルタルの施工などが行われ、建方準備が完了したあと、鉄骨建方工事が始まります。
鉄骨建方では、ダイナミックに建物の骨組みが作られていきます。鉄骨建方は柱→大梁→小梁の順で組み立てられていきます。仮ボルトを用いて鉄骨を組み上げ、建入精度検査を実施し、建入れを修正します。建入れ精度検査はではスパン・ねじれ・柱の倒れなどの検査を行います。建入れ修正後に、仮ボルトを本締めボルトに入れ替えて鉄骨が固定されます。ボルトの本締めは一次締め→マーキング→二次締め(本締め)の流れで行います。その際、監理者は一次締めのマーキングの確認や二次締めのトルク値の確認などを行っていきます。その後、現場溶接へと進み、それぞれの品質検査を行っていきます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は鉄骨工事の監理フローについてかいつまんでご紹介させていただきました。
鉄骨造は部材の大部分である鉄骨を工場で製作してから現場に搬入し組み立てていくため、鉄骨製作業者との打合せや、確認のための検査が重要となります。
予め検査項目や検査方法、判定基準を明確にし、前もって工作図や鉄骨製作要領書、検査要領書工作図にその内容を記載し、関係者全員の認識にずれがないよう注意して監理業務を行っていきましょう。