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2022/07/29 |  社員ブログ

とっても重要!周辺環境への配慮 ~日影規制編~

こんにちは。私は豊和開発の設計監理部に所属している山本と申します。
建築物の建設を計画する上で、周辺環境への配慮は欠かせないものです。注意すべきポイントとして、建物の形・色彩・騒音・プライバシーへの配慮等多数あげられます。そんな中から今回は、建物の形にフォーカスし、近隣への日照確保を目的とした【日影規制】についてご紹介します。

- 目次 -
CONTENTS

1.「日影規制」って?

近隣の日照を確保する目的で、一定の基準を超える高さの建物には高さ制限がかかってきます。
今回は、建築をする上で重要な建築基準法上の制限の1つ、【日影規制】(にちえいきせい・ひかげきせい)についてご紹介していきます。
日影規制とは、建築基準法第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)のことを言います。 日影規制は、1976年(昭和51年)の建築基準法改正により制定され、日照の保護を目的とした日影による建築物の高さ制限です。
日影規制の対象となる地域に建築物を設計する場合、隣地境界線・道路中心線から「5mおよび10mの範囲に何時間の影を落とすか」を日影図で検討することになります。用途地域により規制時間と測定面高が定められているので、等時間日影図が規制ラインを超えないようにする必要があります。

2.対象の建築物は?

日影規制の対象となる建築物かどうかは、用途地域・敷地の指定容積率・建築物の最高高さ、軒高、階数等で決まってきます。
日影規制の内容は建築基準法第56条の2で定められており、(1)~(3)の「種別」に関しては、各地方公共団体がその地方の気候や風土、土地利用の状況等を考慮した上で、条例で指定します。(1)~(3)のうち、どれが該当するかはそれぞれの地方公共団体によって異なります。
日影規制は、住居系の地域を中心に考えられており、都市計画で土地利用計画として定められている用途地域のうち以下の地域が対象となります。
第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域・用途地域の指定のない区域

※同じ敷地に2つ以上の建築物がある場合は、1つの建築物とみなして規制を適用する必要があります。

※規制対象区域外の建築物であっても、高さが10メートルを超え、かつ規制対象区域内に日影を生じさせる場合は、規制対象区域内の規制を受けますので気をつけて下さい。

3.日影規制の対象となる建築物の高さ

規制を受ける建物
第一種・第二種低層住居専用地域と、用途地域の指定のない地域
:「軒の高さ7Mを超える建物、または地階を除く階数が3階建ての建物」
その他の地域:「軒の高さ10Mを超える建物」

日影規制の対象となる建築物の高さ(10mなど)を超えているかどうか判定する際、階段室・昇降機塔などで建築面積の1/8以内のものは5mまで不算入となります。ただし、屋上の階段室を除いた部分が10mを超えており、日影規制の対象建築物となった場合は、日影図作成時に5m以下の屋上部分も含めなければいけません。
また、屋外階段についても対象となる場合がありますので気をつけて下さい。

※各特定行政庁が条例により、用途地域や容積率に応じて、日影規制の対象となるエリアを決めている場合がありますので、計画にあたる際は各地方公共団体の都市計画課等で調べることをお勧めします。

また、日影となる時間を測定するときの測定面は、実際に建物が建っている地盤面ではありません。特定行政庁ごとに用途地域と指定容積率に応じて、以下のいずれかの「平均地盤面からの高さ」が指定されます。
平均地盤面+1.5m・平均地盤面+4.0m・平均地盤面+6.5m等
日影規制における平均地盤面は、高さ10mを超える建築物のみの平均地盤面ではなく、敷地にある建物すべてを合算した平均地盤面が必要です。

4.日影規制の緩和について

建築基準法において、日影規制を緩和する方法が3種類あります。

【緩和①】隣地に道路・川・線路などの空地がある場合
敷地周囲に道路・河川・線路敷等の空地がある場合、空地の幅の1/2だけ測定線の範囲を緩和することができます。また、道路・川・線路の幅が10mを超えるときは、敷地からみて反対側の境界線から5mの位置を敷地境界線とみなして測定線を設定することができます。
【緩和②】敷地の地盤面が隣地よりも1m以上低い場合
敷地の地盤面が隣地よりも1m以上低いとき、日影規制の測定面に対する緩和があります。
緩和内容しては、(隣地との高低差-1m)×1/2だけ測定面が高い位置にあるとみなすことができます。

【緩和③】特定行政庁による許可を得る場合
「増築・改築・移転」の際は、特定行政庁が土地の状況や周囲の環境に配慮したうえで、建築審査会の同意にもとづき許可した場合、日影規制が緩和されます。
建築審査会の同意を得る場合は、特定行政庁と綿密な事前協議を行うことをお勧めします。

5.日影規制についてまとめ

日影規制について注意しなければならないのは次のポイントです。

・同じ敷地に2つ以上の建築物がある場合は、1つの建築物とみなして規制を適用する必要がある。

・建物が異なる規制区域に跨る場合、その区域に応じた建物の高さ、階数を検討して日影規制にかかるかどうかを検討し、いずれかに日影規制がかかる場合は建物全体に適用する必要がある。

・建物の日影が制限の異なる区域にかかる場合、それぞれに属しているものとして、どちらの地域の規制もクリアしなければならない。

・対象外地域にある建物が対象区域内に影を落とす場合、影を落としている規制対象区域の制限をクリアしなければならない。

・敷地が道路、河川に面している場合や敷地が隣地より1m以上低い場合は緩和となる。

・特定行政庁が敷地の状況から周囲の環境の悪化の恐れがないと判断し、建築審査会の同意を得て許可した場合は緩和となる。

いかがでしたでしょうか?
簡単にではありますが、日影規制についてご紹介させて頂きました。
この記事を読んでより意識して頂けましたら幸いです。
また、各地方公共団体の決まりが多い分野になると思いますので注意して計画を行っていきましょう。

最後までお付き合い頂きありがとうございます。