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2025/06/13 |  社員ブログ

古墳群と土地活用

「古墳」・・・太古の地域権力者のお墓。
関西では奈良県はもとより、大阪平野南部に多くの古墳群が点在します。
古墳は、大きな段上の墳丘墓で、四角形、円形、帆立貝形、前方後円形など様々な形があり、紀元3世紀から7世紀の間で築造されました。大きな古墳はだいたい前方後円墳で、堺市にある世界最大規模の大山陵古墳(仁徳天皇陵)が、一番に思い当たるのではないでしょうか?
2019年に堺市の23の古墳と、古市地区の26の古墳が、百舌鳥・古市古墳群として、ユネスコの世界遺産に登録されています。

- 目次 -
CONTENTS

1.古墳って誰のもの?

大きな(有名な)古墳を訪れると、周辺は整備され公園になっていたり、博物館があったりします。また、天皇を祀る鳥居の近くには、「宮内庁」の立て看板があります。
てっきり、古墳は「官」のものとばかり思っていましたが、実は半分位は、「個人所有」だそうです。
随分以前に、全く土地活用とは無縁の仕事をしていたころ、奈良のお客さん(営業先の社長)に大地主さんがいて、その方の自宅の裏に丸い形のこんもりした山があって、「社長の所の裏山、古墳じゃないんですか?」と冗談っぽく言ったところ、「そうやねん、掘ったら色々出て来るから、面倒やねん。だから何もできない」と言われた事があり、最近になって、本当の話という事を知りました。古墳は個人の所有物であっても土地活用が出来ない土地なのです。

2.古墳の周辺の土地は扱いにくい?

古墳の周辺は、意外と閑静な住宅街が多く、一見、土地活用に向いていそうな土地に見えるのですが、用途地域的には、建物の用途や規模に制限のある「第一種低層住居専用地域」であったり、ほぼ間違いなく、「埋蔵文化財包蔵地」になっています。
私が大学生の頃、当時近鉄バッファローズの看板選手だった梨田昌幸さんが、球団本拠地のある藤井寺市内で、自宅兼テナントビルを計画中に埋蔵文化財が発見されたというニュースがあり、世間を騒がせました。現在その場所は「はさみ山遺跡梨田地点」と呼ばれているそうです。
藤井寺市は、古墳の数もさることながら、埋蔵文化財包蔵地でない場所を探し出すのが、非常に難しく、土地活用提案において埋蔵文化財包蔵地は避けて通れない壁になります。

3.第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域は低層住宅のための地域で、小規模なお店や事務所をかねた住宅や、保育所、幼稚園、小中学校、高校、老人ホームや障がい者施設など福祉施設が建てられますが、規模についての制限があります。土地の大きさによって利用できる範囲が定められる建ぺい率は30~60%(50%が多い)、容積率は50~200%(100~150%が多い)で、土地の広さを活かす事が難しい地域です。
しかし、近隣との兼ね合いもありますが、福祉施設の場所としての環境は良い場所だと思います。

4.埋蔵文化財包蔵地

埋蔵文化財包蔵地に指定されている地域の土地で、建築物を建てる場合は、事前に調査をして、文化財らしいと認められた場合、発掘調査をしなければなりません。公費で賄われる場合もありますが、ほとんどが、土地所有者の費用で実施されます。
発掘調査中はもちろんですが、保存手続きが完了するまで、工事を行う事が出来ませんので、発掘調査の影響で工期がかなり遅れる事もあります。
もちろん、埋蔵文化財包蔵地に指定されている地域の土地で全て、保存が必要な文化財が出土するとも限りません。また、地中深くに文化財がある可能性があったとしても、建物の基礎が、その地層に達しない場合は、工事を行う事ができます。

5.計画の趨勢は調査次第?

埋蔵文化財包蔵地での調査は、重機や人力で行い、該当する土地で、試掘抗を掘削するのが一般的で、専門の業者に委託します。掘削後、各行政(教育委員会)から現地に派遣された学芸員の方が地層や、出土した土壌に、土器などの破片が混ざっていないか等を調査、確認し、報告書を作成します。
掘削する範囲は、過去に近隣で掘削された際の記録や、建築予定の建物の基礎の深さなどにもより、最初は小さな範囲でも、学芸員の方が気になるような状況が確認された場合、範囲を広げて行われます。
また、調査の結果、文化財が確認されたとしても、文書によっての保存で済む場合もあれば、現状を保存、もしくは移築しての保存が検討される場合もあり、工事計画に大きく影響して来ます。

6.悠久の土地

地震列島と言われる日本で、古墳のある地域は、太古の昔から1,500年以上もその姿(土地の形状)を変えずにいる事から、土壌(地盤)のしっかりした地域であると言えます。
私たちが提案している福祉施設は、利用者の性質から自然災害には非常に脆い施設です。地震や洪水などの大きな災害がある場所は好まれません。
現在私は、藤井寺市、羽曳野市、松原市で、住宅型有料老人ホームの用地を探しています。確かに埋蔵文化財の保存と言うハードルはありますが、ひとつひとつ課題をクリアすれば、活用できない土地はありません。
古墳周辺の環境は、老人ホームとして良い場所のように思います。古墳近くの土地で、土地活用をご検討頂ける地主様からの、ご相談、お問い合わせをお待ちしております。【営業本部 田宮】