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2022/04/15 |  社員ブログ

安心・安全に暮らす為の建築物

豊和開発株式会社設計監理部に所属している長浜と申します。
建築物は『衣・食・住』の『住』にあたります、生活していく上で必要不可欠な、『住』にあたる建物はどういう風に計画されて建築されているでしょうか?今回は建築計画に必要な、安心・安全に暮らす為の建築をするにはどのような計画が必要かをテーマに記事を書かせていただきたいと思います。私は、豊和開発に入社して、約1年が過ぎ、通所介護施設であるデイサービス併設の有料老人ホームの確認申請業務をしてきました。初めて建築確認申請業務に携わったことで、建築基準法を踏まえた申請業務の難しさを目の当たりにしましたが、法律の解釈や、地域ごとの決めごとなど多くを学ぶ事もできました。申請業務に多くの時間を要しながら、建築確認済証を取得した際はやり遂げた充実感に、喜びもひとしおでした。それとともに建築に関わる申請業務の重要性の再認識に繋がりました。

- 目次 -
CONTENTS

1.建築確認申請とは?

建築確認申請とは、建物の新築・増築・改築する際に、その地域の地方公共団体や指定確認検査機関に届出をすることです。建築確認済証を取得できなければ工事を着工することはできません。申請時にその計画した建築物の性能や安全性や建築基準法の法令を遵守できているかなどを審査して頂きます。その審査の基準となる建築基準法は1950年に制定され、国民の生命・健康・財産の保護、建築物の敷地や、設備や構造や用途について最低基準を定めている日本の法律です。都度見直されながら、行き届いていない所があれば、繰り返し改正されているものになります。指定確認検査機構とやり取りの中では、些細な事も見逃すことの無い審査を目の当たりにし、建築基準法や条例にはそれぞれに意味があり、それにより建物の安心・安全が確保されているのだと改めて認識する事が出来ました。

2.現代の建築設計で守るべき事

現代の建築設計では、建築基準法以外の切り口からも、より安心・安全な建築物にすることが求められます。その為、設計段階で検討する事項は多数あり、設計者の求められる知識や経験が多く問われます。計画には下記のような多くの検討項目があり、それらを複合的にクリアしていき建築計画は完成します。
【自然災害】
台風、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震など、建築物は自然災害の影響を受けやすく、建築物の崩壊は、多くの命にかかわってきます、その地域や立地にあわせた建築計画の検討が必要とされています。
【消防法】
火災による被害を最小限にとどめ、人の命や財産を守る事が目的です。建築計画の際にも、必要な消防設備や、消防法を遵守できているのかを審査します。消防との協議では特に念入りに計画図面や消防設備の配置を見ていきます。
【省エネ適合判定】
近年、省エネを耳にする事は多くありますが建築物にも省エネ基準を検討する事が要求され、非住宅においては床面積300㎡以上の建物は省エネ適合判定の届出が必要となっております。外壁の断熱材や、外部と接するサッシ等の性能を数値化し、基準値以上の省エネルギー性能で建物を計画する事が義務付けされています。
【バリアフリー】
建物入り口の段差など、健常者にはとっては問題の無い設備であっても、高齢者・障害者の方には危険な障害物や、日々の生活に支障となる設備があります。日常生活を困難にしている障壁を取り除き、高齢者や障害者だけではなく、全ての人にとって安心して暮らせる建物にする目的としています。
【その他】
それぞれの地域ごとや建築用途ごとによって安心・安全な建物を建てる為に定められている事項は多岐にわたります。

3.法令を守らないことで起こりうること

『違法建築物』という言葉を聞きます。『違法建築』とは建築基準法や地域の条例に違反して建てられた建築物の事で、『違反建築物』とも呼ばれています。ある老人ホームで実際に起きた火災の事例を上げてみましょう。この施設は老人福祉法上の『有料老人ホーム』であったのですが自治体に届出を出しておらず、施設にはスプリンクラーや自動火災報知器もなく、入所者が複数の棟に分かれて生活していたのですが火災時は職員が1人しかいなかったこと、建築基準法に基づく自治体への申請をせずに増改築が繰り返されていた、通路上の引き戸につっかい棒をしていたなど次々と問題が判明しました。運営や施設の適切な管理はもちろんですが、手順や法律を守り、各所の検査を経ながら運営ができていれば、未然に問題が発見され、是正ができていたかも知れません。『違法建築』は、問題が起こってから発覚する事が多く、事が起こってからでは人の財産や命にも関わり、取り返しがつかない重大な事態を招くのです。

4.最後に

現代社会では、自然災害や、ウイルス感染、少子高齢化等様々な問題が取り上げられ、その影響で建築基準法の改正や建築物への考え方が日々変化しています。設計者もそれに合わせ、スキルや持っている情報等を常にアップデートしていく事が求められます。今回の確認申請業務を通じ、条例、建築基準法、消防法等を全てクリアする事を前提として、さらに発注者の要望を満たす建築物を具現化する建築士の偉大さを知る事ができました。私はまだまだ経験が少なく、分からないことも多々ありますが、日々学び新しいことに挑戦していく為、向上心を忘れず、法令遵守はもちろん、発注者の要望を実現する力を持ち、社会に求められる安心・安全な建物を設計できる建築士になるよう、努力してまいります。