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2022/05/13 |  社員ブログ

印紙税とは?~実務に即した対応~

経理業務を行うにあたり、法人税や所得税(源泉所得税含む)、固定資産税や自動車税等、あらゆる税金と出くわしますが、私自身、あらゆる税金の中で特に複雑だと感じるのが「印紙税」です。今回、印紙税について、経理担当者である私が実務ではどのように対応しているか、そもそも印紙税とは?ということをなるべくわかりやすくまとめてみましたので、よろしければ参考にしてください。

- 目次 -
CONTENTS

1.印紙税とは?

印紙税とは、経済取引等に伴い作成した契約書や領収書等の「課税文書」に課税される税金で、収入印紙を貼付、消印をすることで納付する「国税」です。課税文書を作成するだけの財力があるよね、だから税金を支払ってくださいね、というイメージです。
印紙税法で定める「課税物件表(印紙税額一覧表)」に文書の種類ごとに1号から20号まで分類されており、それぞれ印紙税額が定められています。課税文書の種類により、印紙税額が定額のものと、記載金額に応じて印紙税額が変わるものがあります。
課税物件表に該当する文書だけが印紙税課税であり、そうではない文書に印紙税は課されません。
なお、課税物件表に掲げる文書であっても、非課税となる文書があります。
非課税となるのは、下記の通りです。
・課税物件表のうち、非課税と定められているもの
・国、地方公共団体が作成したもの
・医師、医療法人等が作成した金銭の受取書(領収書)等

実務としては、印紙税について下記の手順で判断、対応しています。
①経済取引に伴い契約書等の文書を作成
②印紙税課税文書に該当するか「課税物件表」をもとに判断
③仮に課税物件に該当するとなった場合、非課税かどうか確認
④仮に非課税ではないとなった場合→「課税物件表」に則り、印紙税額相当分の収入印紙を貼付の上、消印をすることで印紙税を納付する

2.印紙税のおさえておきたいポイント

では、印紙税において、いくつかおさえておくべきポイントについてご紹介致します。
・印紙税を納付する人は?(納税義務者)
課税文書を作成した人です。 →1つの文書を2以上の関係者が作成した場合、印紙税を連帯して納付する義務が生じます。
・印紙税の納付方法(原則)
印紙税相当額の収入印紙を貼付、消印することで納付します。
なお、特例として、収入印紙貼付によらない納付方法もありますが、詳細な説明は省きます。
・印紙税の過誤納について
収入印紙を誤って多く貼付した場合や、そもそも印紙税納付不要の文書に誤って収入印紙を貼付した場合、税務署に申請することで還付を受けることができます。その際には誤って貼付した文書の原本が必要です。
・印紙税を納付しなかった場合
印紙税を納付しなかった場合、「過怠税」が課されます。納付しなかった印紙税額+本来納付すべき印紙税額の2倍=つまり3倍の過怠税がかかります。
・件名や標題ではなく、実態で判断する
例えば、印紙税課税文書として、請負契約書がありますが、文書の件名が「請負契約書」となっていなくても、内容が請負契約書にあたる場合は、印紙税課税となります。件名や標題ではなく、文書の実態(内容)がどうかで判断します。
・契約が有効かどうか
印紙税課税文書に該当する契約書を作成した場合で仮に収入印紙の貼付・消印を忘れていた場合であっても、当然のように契約自体は法的に有効です。印紙税と契約の成立は直接的に関係しません。
・消印について
印紙税は収入印紙を貼付し、消印をすることで納付が完了します。よって、消印がないものは納付とみなされず、本来納付すべき印紙税額分過怠税が課されます。
消印は、その文書に押印した印と同じものではならないということはなく、文書の作成者や代理人、使用人、従業員の印章や署名でも構いません。単に斜線をひいたものや「印」と記入したものは署名とはみなされませんのでご注意ください。

3.実務で頻出する印紙税 ~領収書~

経理担当者として印紙税とよくでくわすのは領収書を発行する時です。「領収書」=「収入印紙を貼る」いうイメージを皆さんもお持ちではないでしょうか。
売上代金を受け取ったことを証する書面としての領収書は印紙税の17号文書に該当するため、印紙税課税文書となります。記載金額が5万円未満の領収書は非課税です。
では記載金額を「消費税込」「消費税抜」どちらで判断するかというと、明確に消費税額が区分表示されている場合や税抜価格と税込価格が併記されていることで、消費税額が明確な場合は「消費税抜」で判断します。
例えば、消費税込53,900円(本体価格49,000円消費税額490円)の領収書を発行する場合、消費税について区分表示されていれば、記載金額が5万円未満の49,000円で印紙税が非課税になるのに対し、単に53,900円としか記載がないと、記載金額53,900円となり、印紙税課税となり、収入印紙200円の貼付が必要です。
たかが200円の差ですが、塵も積もれば山となるですし、手間がかかることではありませんので、消費税を明確に区分して記入することをおすすめします。
なお、印紙税課税文書となる領収書は「営業に関するもの」になります。例えば個人が営業に関しない領収書を発行する場合は、収入印紙の貼付は不要です。

4.実務で頻出する印紙税 ~契約書~

経理業務を行う上で、経済取引に伴い作成する文書、もしくは目にする文書として、各種契約書がありますが、契約書には印紙税が課税のものとそうではないものがあります。
課税文書に該当する契約書を下記に列記すると
1号文書として:不動産売買契約書、土地の賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書(金融機関からの証書借入の際などで締結します)等
2号文書として:工事請負契約書、工事注文請書等
7号文書として(継続的取引の基本となる契約書):売買取引基本契約書等 があります。※7号文書の印紙税額は一律4,000円です。
なお、2号文書の記載金額の消費税込、抜の判断ですが、17号文書(領収書等)と同じく、消費税額が明示されていれば、「消費税抜」で判断します。

5.印紙税についてまとめ

今回、印紙税についてまとめてみましたが、実務で頻出する領収書や契約書については一度覚えてしまえば応用できることが多く、難しく感じることはないかもしれません。
ただ、頻出しない課税文書であったり、1つで印紙税課税1号文書から20号文書のうち、2以上の事項に該当する文書というのもあります。
また、課税文書の種類によっては、軽減税率の適用があったり、印紙税法の改正によって、印紙税額が変わることもありえます。
迷った時は安易に判断せず、国税庁ホームページに印紙税についての案内がありますので、必ず確認、最新の情報を入手の上、慎重に判断してくださいね。
【豊和開発株式会社 経理担当 木村】