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2021/04/23 |  社員ブログ

問題です。左側の土地は「接道要件」を満たしていますか?

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1.接道状況がポイント

 クライアントから依頼を受け、物件調査を行う際、最寄駅からの距離や、土地の形状、面積の確認は必須ですが、実際現地に赴いた際、非常に重要視する項目があります。それは「接道状況」です。
 その土地に対して、道路がどのような状況で接道しているか?間口(道路に面している部分の長さ)と、幅員(接している道路の幅)、そして至る道(主要な道路から、その土地に続く道)の状況は、建物を建てる上で、非常に重要なファクターとなります。
 その土地で計画する建築物が、デイサービスなどの施設であれば、送迎車の走行への配慮もありますが、そもそも、例えそこに、希望する広さの空地があったとしても、必ずしも希望する建物が建築できるとは限りません。どんなに広くても、どんなにきれいな整形地であっても、です。
 公図(土地の位置と地番を確定するための図面)の中に、「水」と表記されている部分は水路で、「道」と表記されている部分は里道であり、これらは、例え現況で人や車が通行できるような状態にあったとしても、「建築基準法上の道路」ではありませんので、この道路にしか接道していない土地には、原則、建物を建築する事は出来ません。つまり、土地活用が難しい土地という事になります。

2.道路法の道路 ≠ 建築基準法上の道路

 道路には、国や地方公共団体が管理する国道や都道府県道、市区町村道の所謂「公道」と、個人や団体が所有する土地を道路として使用している「私道」等があります。これらは権利関係や管理者で区分されたもので、道路法が適用されたものを通称「認定道路」と呼びます。これとは別に、「建築基準法上の道路」と言って、その道路が接する土地に建物を建築しようとするときの制限によって区分する、道路の分類があります。   
 建築基準法上、幅員4m以上の道路に、2m以上接していない土地には、建物を建てる事は出来ません。
写真では、左側のバス通り(認定道路)から、右側の点線の所迄「建築基準法上の道路」が来ています。

3.道路の種類を確認する

 建築基準法第42条1項1号道路は、道路法による道路幅員4m以上のものが該当し、国や地方公共団体の道路を管理している部署で、道路地図等で、閲覧、調査することが出来、この道路に2m以上接していれば、建物を建築する事ができます。但し、道路法が適用される認定道路であっても、高速道路など自動車専用道路等は、「建築基準法上の道路」ではありません。
 その他、都市計画法第29条による開発行為によって築造された「開発道路」、土地区画整理によって築造された「区画道路」、建築基準法施工以前から存在する幅員4m以上の道路などが、それぞれ2号道路、3号道路、4号道路に分けられ、地方公共団体の建築指導などを行う部署で、確認する事が出来ます。

4.位置指定道路

 接道のない土地を、宅地分譲しようとする際に築造する道路は、建築基準法第42条1項5号道路として適用されます。このように、個人や、法人などの民間が所有している土地に、建物を建てる為に私設した5号道路が、「位置指定道路」と呼ばれ、建築指導等を行う部署で道路地図で確認する事が出来ます。

5.2項道路

 建築基準法施行以前に既に存在し、建物が立ち並ぶ幅員4m未満の「建築基準法第42条第2項道路」と言う道路があります。これは「みなし道路」と呼ばれ、道路中心線から2m後退した部分を道路の境界線としてみなすことで、幅員4mの道路として扱われています。この場合、既存の建物を取り壊し、新しい建物を建築する際、接道している道路の中心線から2mのところ迄、敷地を後退(セットバック)する事になります。この「みなし道路」も、建築指導等を行う部署で道路地図で確認する事が出来ます。
 建築基準法第42条にはこのほか、土地の形状や、区域や幅員等により区別された3項~6項の道路があります。
 この他、世の中には建築基準法上の「道路」かどうかの判定が未だなされていない「未判定道路」があります。このような道路にしか接していない土地に、建物を建てようとする場合、道路判定をしなければなりません。その結果、「道路非該当」となった場合は、建築基準法第43条第2項第1号認定又は法第43条第2項第2号許可が必要となります。

6.「水路」と「里道」

 田畑に挟まれ、立派に整備された道路に見えても、実際には「建築基準法上の道路」でなかったり、現況はきちんとした、幅員4m以上の道がその土地に接しているように見えても、接道していなっかったというお話の中で、よく登場して来るのが「水路」と「里道」です。
 道路と土地の間に、このような「水路」や「里道」が存在する場合、建築基準法上の接道要件を満たさない場合があります。
 特に水路は、水路上を日常的に道路の一部として利用するために、暗渠(蓋掛けや地中に埋め込む)等が施されていたり、里道は、現況の見た目ではわかりません。法務局で公図を見ると、地番はなく、「水」(水路)や「道」(里道)で表示されています。
 これらを「法定外公共物」といい、道路法、河川法、下水道法、海岸法等の法令の適用または準用がなく、かつ登記上私権が設定されていません。
 こういった「水路」や「里道」がある場合でも、一定の要件を満たせば、法定外公共物使用許可をとり、建築基準法上の道路の幅員に含める事ができます。

7.「至る道」

 ここまでは、その土地に接道している部分について触れて来ましたが、建物を建てる為には、もう一つ重要な道路の条件があります。それが「至る道」です。これは、その土地に接道している道路が、主要な道路からその土地迄の間、基準を満たした幅員で繋がっているか、どうかという事です。この基準は計画する建物によって違い、途中で狭小な部分があった場合は、希望する建物を建てる事が出来ません。やはりこの場合も、土地活用は難しくなります。

8.土地活用と道路

 「売る」「貸す」「建てて貸す」、いずれの土地活用をする場合でも、その土地と接道する道路の「間口」と「幅員」は、そこに建てられる建物の規模にも影響を与えますので、非常に重要な要件になります。
 現在「2022年問題」と言われる生産緑地の多くが解除される事で、宅地化する土地が一気に増え、市場に流出し、土地の価格の暴落はもちろん、これを機に賃貸マンション経営を始める方も多くなる等し、結果、空き家が増え、市場が低価格化する事等が予測されます。
 大切な財産を、きちんと活用し、色褪せないまま、次世代に受け継いで頂く。そんな土地活用のご提案を豊和開発では心掛けております。
 今回の「道路」のお話の中で、ご所有地と照らし合わせて「モヤモヤ」を感じられて地主さんがいらっしゃいましたら、是非、お気軽にご相談ください。(豊和開発株式会社 営業本部 田宮)