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2021/06/25 |  社員ブログ

土地活用が相続税対策になると言われるしくみって?

「相続税対策として土地活用が有効」という話を聞くことはありませんか?私自身も何度となく耳にしましたが、「それって実際どういうことなんだろう」と疑問に思っていました。
今回のコラムでは、土地活用が相続税対策になると言われるしくみについて、「ざっくり」とですが、説明したいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.相続税のしくみ

相続税とは?…個人が被相続人(亡くなった方)から相続によって財産を取得した場合に、その財産に対して課される税金です。
課税される財産の対象とは?…被相続人が亡くなった際に持っていた国内外すべての財産(不動産や預貯金、株式など)が対象です。
誰が払うの?…亡くなった方の財産を引き継いだ一定範囲の親族が納税義務者となります(相続人と言います)。
どのように計算するの?…基本的な計算方法は以下のようになります。

相続した財産の評価額(①)-相続した負債の額(②)-基礎控除額(③)=課税遺産総額
相続は複数の相続人で行われるのが一般的ですので、法定相続人が法定相続分どおりに相続したと仮定して、各相続人の課税遺産額を計算します。
課税遺産総額×各相続人の相続割合(④)=各自の課税遺産額
各自の課税遺産額×相続税率(⑤)-税額控除額(⑥)=各自の相続税額
各自の相続税額を合計した金額が、このたび発生した相続で納付する相続税となります。

それでは、いわゆる相続税対策はどの部分で行われるのでしょう?
③は現在、3000万円+(600万円×法定相続人の数)と決められています。
④は、亡くなった方との関係(配偶者なのか子なのか等)により異なりますが、その割合は民法によって定められています。
⑤は、各自の課税遺産額によって決められており(累進課税で税率10%~55%)、⑥の税額控除額も税法で明確に決められております。
つまり、変えられるのは①か②ということになります。
ただ、ここで注意していただきたいのは②についてです。
借金をすれば負債(②)の額が増えるので相続税対策になるのでは?と思いませんか?
結論としては、「なりません。」確かに相続税計算上のマイナスとなる財産(借入金)は増えますが、その借入れによってプラスの財産(現金)も同じだけ増えるからです。
そこで今回のコラムでは、不動産を所有している場合の相続税対策として、①「相続した財産の評価額」を下げる方法に着目してみたいと思います。

2.現金を建物に変えて相続税評価額を下げる

相続する財産の評価額を下げるために、現金を建物に変える方法があります。形を変えることで評価額が変わるなんてなんだか不思議ですよね。そのからくりはこんなところにあります。
現金のような金融資産は、基本的に「額面=税務上の評価額」となります。一方で、建物の相続税評価額は、建物の固定資産税評価額となります。現金を建築費として活用し、建物に変えて相続すると、この評価額は現金のときの約40~50%減少します。これは、規模や構造、築年数などの影響を受けるものの、建物が建築費(現金)の約50~60%として評価されるからです。現金を建物に変えることで、資産価値が下がるのです。ちなみに、この50~60%の間の数値は、各市町村が算定します。
また、その建物を他人に貸し付けることでさらに評価額は30%減少します。
それは、建物の相続税評価額がこのように計算されるからです。

建物の相続税評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

借家権割合は、国税庁が全国一律30%と定めています。また賃貸割合は、実際に貸している部屋の割合で、満室の場合は100%です。空室があっても一時的なものと認められる場合や一棟貸しの場合も100%として扱われます。
つまり、現金を建物に変えて他人に貸し付けることで、「現金→建物」による評価額の減額効果と「建物→賃貸用建物」による減額効果が期待できるのです。

3.土地の相続税評価額を下げる

「更地のままにしていたら相続のときに税金が勿体ない」という話を聞くことがありますが、その話にはこんな理由があります。
更地の場合の相続税評価額は基本的に、土地の面積×相続税路線価で求められます。
相続税路線価は、土地が面している道路ごとに決まっており、国税庁のホームページで確認できます。
これに対して、更地に自分で建物を建てて、その建物を他人に貸し付けている場合(貸家建付地といいます)の土地の評価額は以下のようになります。

貸家建付地の相続税評価額=更地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

ここで初めて借地権割合という言葉が出てきましたね。建物を貸すということは同時に一定の土地の権利も制限されるということです。借地権割合は、土地の権利全体のうち、借り手に移った権利の割合です。住んでいる地域ごとに30~90%の借地権割合が規定されています。地価が高いほど借地権割合も高くなるとされていて、住宅地の場合は60~70%が一般的と言われます。これも路線価図で確認ができます。借家権割合と賃貸割合は、建物の相続税評価額の計算のときと同じです。
以上のことから、仮に借地権割合が70%とすると、貸家建付地の相続税評価額は更地の相続税評価額に対して21%程度の減額効果が期待できるということになります。

4.相続税対策として有効な土地活用とは?

相続税対策が目的とは言っても、将来的に安定した資産を残して初めて、土地活用が成功したと言える、と私は思っています。相続税対策として有効な土地活用として、賃貸マンションによる土地活用が挙げられると思いますが、将来の安定性に関して言えば、立地に左右される面も多いです。
一方で例えば、介護施設による土地活用は安定性の高い土地活用だと言えます。介護事業者が一棟借りをするため、自分で経営する必要がなく、建物管理に対する負担が少ないということもメリットです。介護施設の種類や規模によって建物への投資額が異なるため、反対に言えば、どれだけの相続税対策が必要かということを考慮したうえでの、選択肢も比較的幅広くあります。
介護施設での土地活用のメリットについては、これ以上説明をしてしまうと、今回のコラムの主旨とは外れてしまいますのでこのあたりにさせていただきます。

5.まとめ

ここまで、土地活用が相続税対策になると言われるしくみについて説明してきました。しかし、土地にはひとつとして同じものはなく、また人それぞれ所有する財産の額は違います。その土地はどのような活用が向いているのか、どの程度の相続税対策が必要なのか、相続税対策のためだけの土地活用にならないか、そういったことを考慮したうえで一番良い相続税対策を選択できるに越したことはありません。
今回のコラムが、相続税対策について考えるきっかけ、そして相続税対策としての選択肢を増やすきっかけになると嬉しいなと思っています。
【営業本部 松原】