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2025/07/04 |  社員ブログ

容積率の規制とは何か?

都市部における土地利用を効率的かつ正しく行うために、さまざまな法的な規制が設けられています。その中でも代表的なものの一つが「容積率」に関する規制です。容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を示すもので、都市計画法および建築基準法に基づいて定められています。
他にも建ぺい率と言って、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、土地に対してどれくらいの大きさの建物を建てられるかを示す割合がありますが、今回は容積率についてお話させて頂きます。

容積率(ようせきりつ)は、次の式で表されます。

 

容積率(%)= 延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100

 

たとえば、敷地面積が100㎡の土地に建物の延べ床面積が150㎡であれば、容積率は150%となります。これは、建物を何階建てにするかや、どの程度まで床面積を広げられるかを左右する重要な指標です。

- 目次 -
CONTENTS

1.規制の目的と背景

容積率の規制には、以下のような複数の目的があります。

 

• 過密な都市開発の抑制
過度な建築物の集中は、交通渋滞やインフラの負荷、日照不足、風通しの悪化など都市生活の質に悪影響を及ぼします。容積率の制限は、これらを未然に防ぐための手段です。

 

• 都市景観の保全
容積率によって建物のボリュームを制御することで、統一感のある街並みや、景観価値の高い都市空間の維持が図られます。

 

• 防災上の配慮
建物が密集しすぎると、火災時の延焼リスクや避難経路の確保に支障が生じます。容積率の調整によって、適切な建物間隔が保たれ、災害時の安全性が高まります。

地域による違いと指定の仕方
容積率は全国一律ではなく、用途地域ごとに上限が定められています。用途地域とは、都市計画に基づいて定められる土地の利用目的の分類で、住宅地、商業地、工業地などに分かれています。

たとえば以下のような例があります:

 

• 第一種低層住居専用地域:容積率は50〜100%程度
• 商業地域:容積率は300〜500%、あるいはそれ以上

 

用途地域のほかにも、道路幅員による制限があります。具体的には「前面道路の幅員×法定乗数」で最大容積率が決まる場合があり、これは「道路制限」と呼ばれます。乗数は、住宅系用途地域では0.4、非住宅系では0.6とされています。

2.容積率緩和の制度

一部の条件下では、容積率の緩和や特例措置を受けることも可能です。主なものとしては以下があります

 

• 総合設計制度
一定規模以上の敷地に対し、公開空地や広場を設けることなどを条件に、容積率が緩和される制度です。大規模な再開発などでよく利用されます。

 

• 特定街区制度
特定の街区全体で容積率や高さ制限を柔軟に設計できる制度です。周辺環境との調和を図りつつ、効率的な土地活用を可能にします。

 

• 防災施設や子育て支援施設の設置
公共性の高い施設を建物内に設けることで、容積率の加算措置が認められる場合があります。

3.容積率と土地活用の関係

容積率は、土地の「収益性」と密接な関係があります。たとえば、同じ100㎡の敷地であっても、容積率が100%の土地は延べ床面積が100㎡しか取れませんが、容積率が400%であれば最大400㎡の建物を建てることができ、家賃収入や売上の面で大きな違いが出ます。

 

そのため、土地の価値を評価する上でも容積率は非常に重要な要素とされており、「高容積率=高ポテンシャル」として見なされることが一般的です。特に都心部や駅前などの好立地では、容積率の高さが不動産開発の可否や採算性を左右します。

 

一方で、容積率が高すぎると建物の設計が複雑化し、建築コストや管理コストが増大するリスクもあるため、バランスの取れた土地活用が求められます。

4.今後の課題と展望

今後の都市開発では、人口減少や環境配慮、災害リスクの軽減といった観点から、容積率の柔軟な運用が求められるようになるでしょう。実際、近年では地域再生やコンパクトシティ政策の一環として、一定の条件下で容積率を緩和する制度が拡充されています。

 

一方で、容積率の過剰緩和は都市が無秩序に郊外へ広がる現象や「インフラ負荷の集中」を招く恐れもあるため、慎重な都市設計と、住民参加型の街づくりが重要になってきます。

 

容積率の規制は、都市空間の秩序を保ち、快適で安全な生活環境を実現するために不可欠な制度です。土地を活用するうえで、その制限内容や緩和制度を正しく理解することは、建築計画や不動産投資の成否を左右する重要なポイントとなります。今後も、都市の変化に合わせた柔軟な運用と、持続可能な土地利用の在り方が求められることでしょう。

 

自分の土地が何に向いているのかわからない場合や土地活用に関するご相談があれば、提案までは全て無料でさせて頂いています。少しでもご興味が湧いた方は、本コラム記事の下側に問い合わせフォームが記載されていますので、是非下元までご相談下さいませ!