豊和開発 土地活用に
グッドアイデア

- コラム -
COLUMN

HOME › コラム › 障害者向けグループホームのプラン図

2021/09/28 |  社員ブログ

障害者向けグループホームのプラン図

こんにちは。私は豊和開発の設計監理部で建物プランの作成や確認申請、意匠設計などを担当しております。今回は弊社でご要望を頂く、障害者グループホームを計画するにあたり、必要となるプラン図の作成についてご紹介させて頂こうと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.グループホームとは

まず弊社で計画する障害者グループホームとはどういったものかとご説明しますと、知的・精神・身体障害者の方々が援助を受けながら共同生活を営む施設といったものです。
食堂・居間・キッチン・お風呂・トイレは共同で、それぞれに個室が設けられています。それらを1ユニットと数え、1ユニットの定員は原則10人以下となっています。施設によって、1ユニットの施設もあれば、2ユニット以上の施設もあります。また個室には確保すべき最低有効面積の基準が設けられています。その他にも事務室、スタッフ室、更衣室、相談室といった運営者側が利用する部屋が設けられます。

2.法令チェック・事前調査

プラン作成に入る前にまずやるべきことが、法的なチェックです。基本情報は営業担当と情報を共有しますので、それ以外の部分を確認していきます。例えば、高度地区に該当する地域であれば、市町村により、それぞれの高度地区に割り当てられた建築可能な高さが異なりますので、その確認を行います。日影規制に該当する建物であれば、プラン作成後になりますが、日影図(その建物が隣地に何時間以上影を落とすかをシュミレーションした図面)のチェックが必要です。また敷地面積の何パーセント以上を緑化する必要があるのか、といったことを確認します。ほかにも食堂・居間や個室の窓には有効採光面積と言って、居室の採光に必要な開口部の広さが建築基準法で定められた数値を満たす必要があります。この数値は例えば窓を隣地側に設けた場合、窓(直上に庇等がある場合はその先端)から隣地境界線までの距離が長いほど有利に働きます。敷地に余裕がある時はよいのですが、敷地に余裕がない時はこの有効採光面積を確保出来ず、建物配置を検討し直さなければなりません。  これら以外にも一定の敷地面積、建物面積以上となりますと、駐車場の必要設置台数が決められていたり、接する道路の拡幅を求められたりもしますので、必然的にその分、建物が建てられる範囲は小さくなります。法令チェック、条例・消防等の事前調査はプランニングに大きく関わってきますので、この作業なしにはプランニングを進めることはできません。

3.プラン図作成

法的なチェック・事前調査を行った後は、敷地図と言って敷地境界線や道路位置、周辺状況、障害物などを記載した図面作成に取り掛かります。敷地測量図がある場合はそれを元に作成しますが、最初のプラン図作成時点では無いことが多いですので、現地で測量した図を参考にしたり、グーグルアースを利用して、仮の敷地図を作成していきます。そしていよいよプラン図作成です。まずは周辺環境を確認します。日照・採光、眺望、道路と敷地の高低差、隣地に建つ建物用途・高さ、歩道の有無、電柱の位置、等といったことを確認します。例えば、道路よりも敷地の方が高い場合は車が敷地へ乗り入れる際にスロープが必要となりますので、敷地内にその範囲を確保します。また駐車場入口は、電柱がある場合はもちろん、交差点近くもその位置を避けて計画します。敷地内から建物へのアプローチについても検討を行います。車いす利用者用駐車場を設置する場合は最も玄関に近い位置に配置し、玄関ポーチまでのスロープを計画することで、バリアフリーに配慮します。アプローチで注意したいのが、人と車の動線です。人が建物へアプローチする動線と車が通る車路とは交差しないように、明確に分けることで安全性を確保します。建物内部でも動線が重要になってきます。利用者が利用するメイン玄関とスタッフが出退勤する裏口を設けることで、動線の交差を防ぎ、スムーズな人の流れを生み出します。また利用者の方々が生活されるスペースの中でも食堂・居間のように比較的、プライバシーを必要としない部屋は玄関入口側に近いゾーンとし、個室、お風呂といったプライバシーを必要とする部屋は奥のゾーンとすることが一般的です。そのほかにも、運営会社様によって特色がありますので、その都度、そのご要望を取り入れていきます。

4.まとめ

プラン図とは、まず、運営者様にその土地に対してどういった規模の建物を建てることができ、そしてそれが事業計画として成り立つのかを理解して頂くものです。その為にプラン図を作成しますが、実際はその後、何度もやり取りをし、理想の形へと近づけていきます。しかし、最初のプランは特に目を引きやすいですし、期待に添わなければ次の話にもなりません。また、もしも使い勝手の悪いプランのまま施工されてしまった場合、改築をしない限りはそのストレスを抱えたまま生活をすることになりますので、プラン図はとても重要です。これからも、障害者グループホームで生活する人や働く人にとって利用しやすく、そして居心地が良いと感じてもらえるように、設計技術の向上に努めていきたいと思います。