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2022/08/26 |  社員ブログ

建築設計における法的な確認

こんにちは。豊和開発株式会社で設計監理部に所属している野田です。私は主にプランニングや確認申請、基本・実施設計などを担当しています。
私達が設計業務を行う上で、必ず行なわなければならないのが、建築基準法やその他法令、また行政によって異なる条例の確認です。
今回はその法令の一部を抜粋し、「防火区画」「避難経路」「バリアフリー」について少しお伝えさせて頂こうと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.防火区画について

まずは防火区画についてです。防火区画にはいくつか種類があり、今回は『竪穴区画』についてお話ししたいと思います。『竪穴』とは階段やエレベータのように縦(高さ)方向に空間が連続している部分です。『竪穴』には階段、エレベータ以外にも吹抜け、ダクトスペース(換気した空気や冷暖房した空気の通路となる管を通すための空間)といったものもあります。主要構造部が準耐火構造や耐火構造などで、地階又は地上3階以上の階に居室を有するものの竪穴部分については、区画(仕切り区別する事)を行う必要があります。ではどういったもので区画を行なうのかですが、以下のようなもので区画します。

・準耐火構造の床
 (主要構造部が耐火構造の建築物は耐火構造の床)
・準耐火構造の壁
 (主要構造部が耐火構造の建築物は耐火構造の壁)
・防火設備

ここで取り上げたいのが「防火設備」ですが、この防火設備には遮炎性能と遮煙性能が求められています。また常時閉鎖式であるか随時閉鎖式(感知器などと連動)である必要があります。屋内の非常階段の前に鉄の扉が設けられているのを見ることがあると思いますが、あの扉により『竪穴区画』が行われており、火災の際、一気に炎や煙が広がるのを防ぎます。ある一定の条件を満たすことにより、緩和措置を受けられることがありますが、原則は上記のようになります。

2.避難経路について

次は、避難経路についてです。『避難』を行うのに必要になるのが階段ですが、建物の用途、規模により2つ以上の直通階段(各階において地上まで直通する階段)の設置が求められます。例えば寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が100㎡を超える場合においては、原則2つ以上の直通階段の設置が義務付けられています(緩和措置あり)。直通階段の位置については規定があり、準耐火構造の寄宿舎の場合ですと、原則、居室の各部分から50m以内の歩行距離で直通階段に至る必要があります。また重複区間の長さの制限というものもあり、これはある居室内のポイントからそれぞれの直通階段への避難経路は、なるべく重複させない(同じルートを辿らない)というものでその区間の長さが制限されています。避難経路の安全性を確保するために2つの階段を設置するのに、建物の隅っこの部分に2つの階段が隣接して配置されていたのでは、当然ながら、意味がありません。よって、平面計画の際には、直通階段のそれぞれの位置はできる限り離すのがセオリーです。
また敷地内には、屋外に設ける避難階段及び避難階の避難経路となる出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあっては90センチ)以上の通路を設けなければなりません。特に敷地に余裕がない際には、プランニングの時点でこの通路幅を確保して設計しておく必要があります。

3.バリアフリーについて

最後はバリアフリー法についてです。バリアフリー法とは国土交通省により定められた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。バリアフリー法には「建築物移動等円滑化基準」とより円滑化を図った「建築物移動等円滑化誘導基準」がありますが、今回は「建築物移動等円滑化基準」から階段、便所、駐車場についての一部を抜粋してみました。

・階段
主たる階段は、原則、回り階段でないことが求められます。また踏面の表面は、粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上げる必要があります。そして踏面の端部とその周囲の部分との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより、段を容易に識別できるものとします。

・便所
不特定多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する便所を設ける場合には、そのうち1以上は、車椅子を使用している者が円滑に利用できるものとしなければなりません。

・駐車場
不特定多数の物が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する駐車場を設ける場合には、そのうち1以上に、車椅子使用者が円滑に利用できる駐車施設を1以上設ける必要があり、幅は350センチ以上とする必要があります。

上記はほんの一例で、他にもまだまだ細かく定められており、これらを設計に反映していくことになります。

4.まとめ

今回は「防火区画」「避難経路」「バリアフリー」について、簡単ではありましたが、一部を抜粋してお伝えさせて頂きました。建築基準法や法令は非常に多岐に渡るため、簡単に身に付けられるものではありません。私自身も日々、勉強です。一つ一つの知識、経験を積み重ね、信頼される建築士でありたいと思います。お読みいただき、ありがとうございました。