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2020/06/19 |  社員ブログ

バリアフリーと建築設計

私は、土地の有効活用を提案する企業で、クリニックなどの医療施設や、介護施設・児童施設等の社会福祉施設を中心に、デザイン・法規・使い勝手・コスト等様々な要素を踏まえながら設計業務を行っています。老人福祉施設や保育園など児童施設の設計に携わる機会が多いことから、必然的にバリアフリーについて考える機会が多くなります。今回改めてバリアフリーについて調べてみることにしました。

- 目次 -
CONTENTS

1.バリアフリーとは

バリアフリーという言葉は、もともと建築用語として、建築物の入口の段差など物理的な障壁(バリア)の除去(フリー)という意味で使われてきたようです。現在では、障害のある人や高齢者だけでなく、あらゆる人の社会参加を困難にするすべての分野でのバリアフリーという意味で用いられています。
高齢者や障害者が気軽に移動できるよう、段差などを解消することを目的として、2006年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が成立しました。施行後も時代に応じ改正を繰り返しています。国が定めていいるもの以外にも各自治体が定めている条例などもあり、例えば大阪府では「大阪府福祉のまちづくり条例」、大阪市では「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」があります。

2.バリアフリー設計にはどのような事が必要?

バリアフリーに対応した建物とは、障害のある方や高齢者の方、ケガをされた方等が施設利用時に物理的・心身的に支障がないように配慮できている建物です。具体的には、世界共通の絵文字・視覚記号(国際シンボルマーク)の設置、点字標識の設置、手摺の設置、段差が解消されている等があります。しかし、バリアフリー化に必要な建材や設備を設置するだけで良いというわけではなく、推奨されている取り付け位置や、材質や形状の指定等、細かな規定事項があります。例えば、『手すり』についてですが、国土交通省の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」では、取り付け位置ついて、1本の手すりを設置する場合、地面からの高さが75~85㎝程度、2本の手すりを設置する場合は1本は地面からの高さが75~85㎝程度、もう1本は地面からの高さが60~65㎝程度の位置に設置するのが望ましいとされています。形状についても円筒形で服や袖が引っ掛かりにくい形状で先端は壁側に折れ曲がったもの、外径は3cm~4cm、材質は肌触りが良い物等が望ましいなど、細かな推奨事項があります。『スロープ』(傾斜・斜面)についても、大阪府福祉のまちづくり条例ガイドラインでは、建築物内部の傾斜については、1/12(12m進んで1m上がる角度=4.8度)を超えないこと。ただし、高さが16cm以下のものにあっては、1/8(8m進んで1m上がる角度=7.1度)を超えないことや、勾配が1/12(4.8度)を超える部分、高さが16cmを超える傾斜がある部分についてはは、手すりを設けないといけない等さまざまな指示事項があります。

3.どのようなバリアフリー設備があるのか?

シンボルマークや、点字、階段、手すりはバリアフリーに必要な代表的な設備ですが、他にはどんなバリアフリーに対応した設備があるのでしょうか?

・段差解消機:
階段の側面に設置する自動昇降機です。斜めに上がる斜行型、真上に上がる鉛直型等があります。車椅子ごと乗せれるタイプや、人が座るタイプもあります。
・車椅子用のカウンター:
市役所等公共施設や病院でよく見るカウンターです。車椅子のままでカウンター越しの接客対応が受けれたり、書類の記入ができます。
・障害者用トイレ:
車椅子の方や、歩行が困難な方でも利用しやすい形状に設計されます。

以上はほんの一部ですが、設計する際は、さまざまな調査をしながら商品の選定をおこなったり、要、不要の検討も行います。新しい商品も日々開発されているので、展示会に出向くなど情報収集も必要です。

4.まとめ

今回改めてバリアフリーについて調べてみましたが、バリアフリーの導入を検討する際は、必要とする方々の目線で創造力を働かせながら、設計をしなければいけない事に気づきました。また、普段の生活の中でもバリアフリーを意識することで知識を蓄え、建築士の仕事だから出来るバリアフリーへの取り組みもあるのではと思います。まだまだ勉強不足ですがより良い建築設計が出来るよう日々精進してまいります。【豊和開発株式会社 設計監理部 大谷】