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2023/04/14 |  社員ブログ

建築ができない土地について

豊和開発株式会社 田宮といいます。私は土地有効活用の提案を行なっていますが、中には敷地が広くても、建物を建築する事が出来ない土地があります。建築できない理由は様々ですが、建築が可能な基準となる道路にその土地が接していなかったり、土地に対して建物の建築に関する制限が課せられていたり、その土地迄続く道が狭かったり、道路と思っていた目の前の道が、実は道路では無かったり。今回は、土地有効活用の提案をするにあたり、建築ができない手詰まりになった事例も含めて記事を書かせて頂きます。

- 目次 -
CONTENTS

1.建物を建築できる土地にする(開発行為)

私たちの土地活用提案は、現状より効果的に収益を生み出すことを前提とした建築の提案をさせて頂いております。つまり、提案のもととなる土地は建物を建築できる土地であることが基本となります。建物を建築する為の様々な取り決めが定められた法律が『建築基準法』で、その土地が『どんな場所にあるのか』『どんな道路に接しているか』等によって、建物の規模や、用途に制限が課せられています。また、農地や山林、規模の大きな土地などに建物を建築する場合は、道路や水路などを新設したり変更したり、その土地の形を変えたり(造成)、農地や山林などの土地を、建築物を建築するための敷地に変える行為など、都市計画法で定められた内容に基づき土地の整備(開発行為)を行います。

2.建築基準法上の道路

建築基準法上では、一定の基準(道幅など)を満たした道路に接していないと、建物を建築する事は出来ません。つまり、前述のとおりその土地が『建築基準法上の道路』に接している事が、土地活用提案の基本的な条件となります。人や車などが日常的に行き交う道の全てが『建築基準法上の道路』にあたる訳ではありません。例えばですが、田園風景の中にしっかりとコンクリート舗装等で整備されている道や、水路上に綺麗に蓋を敷き詰め整備された道があるとします。農作業をされる方はもちろん、主要道路からの車も行き交いできる抜け道としての用途や、通勤、通学にも使用されており利便性も高く通行量が多い道でも『建築基準法上の道路』でないことも多くあるのです。
  

3.送電線路敷設地役権

敷地の上に送電線が敷かれたりしますと、その送電線の下部に当たる土地には、『地役権』というものが設定され、建築する建築物の高さなどに制限が設けられます。また鉄塔の足元付近の掘削に対しても制限が課される為、それらが障壁となって思うような建築工事が出来なくなる場合があります。図のようにAの土地に鉄塔が建てられ、送電線が敷かれると、薄いブルーの網掛けの部分に、『地役権』が設定されることになります。

4.法定外公共物

土地と道路の間に『里道や水路(道路法の適用のない法定外公共物である道路)』がある場合、その土地は道路に接道していないという事になり、建物を建築する事はできません。しかしこのような『里道や水路』の法定外公共物が、その土地に対して道路と並行に沿ってある場合には、接道要件(その土地が道路に接し、要件を満たし建築できる状態)を満たす為に、この法定外公共物を整備する事を条件に、道路幅員に含む事が出来ます(もちろん土地の形状や里道や水路の状態で認められない場合もあります)。

5.通行の為の地役権設定

ここからはひとつの事例をもとに建物が建築できない土地のお話をさせていただきます。ここではA・B・Cの土地があるのですが、道に面した土地の奥に別の所有者の土地Cがあり、表の道Dに出るのに、他人の土地を通って出る為に通路を設けている場合があります。この時、他人地を通行する権利を得るために当事者同志で話し合いのもと『地役権』を設定します。『地役権』を設定する場合、通らせる・通らせてもらう土地所有者同志で契約を取り交わし、それにあわせ金銭の授受も行う場合もあります。例えば図のように隣合わせた3つの土地A・B・Cがあり、道路Dが公道(建築基準法上の道路とする)であった場合、土地Cの所有者が公道に出る為には、通路(土地B、土地Aの敷地)を通らなければなりません。この時、土地Cの所有者は土地A・土地Bの所有者と契約を取り交わし『地役権』を土地A・土地Bに設定するのです。

6.水路敷の用途

土地A・土地B・土地Cには道らしきもの(水色線)が接しています。『水路敷き』と言われるもので、この水路敷きの下部には言葉通り水路があります。この道のような法定外公共物は、管轄する行政が、水路の管理をする為に設けられたもので、基本的にそれ以外で通行するものではありません。この状況で建物を建築できる土地は道路D(建築基準法上の道路)に接する土地Aだけとなります。土地Bは現状駐車場で、土地Aには鉄塔が建っており、水路敷きから2m程控えたところに、フェンスで囲いが施されております。先述のとおり、土地Cの所有者Cさんは、道路Dから土地Cに出入りする為に、土地A・土地Bに通行の為の『地役権』を設定しています。
 

7.敷地設定

土地Cに家を建てたいと考えた土地Cの所有者Cさんは、『地益権』を設定した部分を含めた赤い範囲で、建築確認申請の『敷地設定』を行いました。『敷地設定』は建築許可を得るために、他人地を自分地として建築確認を行うことですが、これでCさんの土地Cは『建築基準法上』の道路に接道している事になり、建物を建築できるようになりました。ここで気になるのは『地役権』はそもそも、土地A・土地Bの敷地を通行させて欲しいという理由で設定されたもので、所有権はそれぞれの土地所有者にあります。建築確認申請における『敷地設定』には、所有者が誰であるかという事は問われず、現況がどうであるかで判断されます。結果土地A・土地Bの敷地含め、土地Cがひとつの敷地であるとと判断され、本ケースでは建築が許可されることとなりました。

8.出口戦略が難しくなった土地

『敷地設定』には、重複して同じ土地で申請が出来ないという定めがあります。土地Cの建築工事が無事完了し、完了検査に合格し、検査済証が下りた時点で、土地Bは、建物を建築する為、建築基準法上の道路に接道させる方法が見つからない土地になってしまいました。現況だけみると、通り抜けも十分な道に接道していているのですが、建物を建築できない土地では、借主や買主を見つける(出口戦略の)難易度が高くなります。結果土地活用が難しい土地ということになります。

9.まとめ

今回は、『建築ができない土地』をテーマにめずらしい事例も含めて説明させていただきました。毎年、固定資産税や都市計画税を払い続けてはいるが、収益を改善したいと思った時に、実は自分の土地は新たな活用が出来ない土地なのかも知れない。そんな風に気になる方はお気軽にご相談ください【営業本部・田宮】