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2025/04/18 |  社員ブログ

カーシェアリングと土地活用

こんにちは。豊和開発株式会社 営業本部の荒木と申します。

弊社では、お土地をお持ちの地主様に対し、その地域の特性や将来的な展望に応じた最適な土地活用のご提案を行っております。
今回のコラムでは、「カーシェアリングと土地活用の関係」について考察していきます。「一見、無関係では?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はカーシェアリングの急速な普及が、土地活用の方向性に大きな影響を及ぼしつつあります。本稿では、その背景と今後の展望について、データを交えながら考察していきます。

- 目次 -
CONTENTS

1.カーシェアリングの普及と若者の車離れ

まず、カーシェアリングの現状について整理します。

2024年3月時点において、日本国内のカーシェアリング会員数は約470万人、貸渡車両数は約6.7万台に達しており、これは10年前(2014年頃)と比較して会員数が約10倍、車両数が約5.4倍という急激な伸びを示しています。
特に注目すべきは、直近1~2年の成長です。2023年の会員数は約300万人なので、2024年までの1年間で会員数が1.5倍以上も増加しているということになります。これは、カーシェアリングの利便性やコストパフォーマンスが一般消費者に広く認知された結果だと言えるでしょう。
また、環境負荷の低減や自動車保有に伴うコスト(購入費、維持費、保険料、駐車場代等)の高さを背景に、「所有から利用へ」という価値観の転換が進んでいることも要因の一つです。今後、都市部を中心にさらに需要が拡大していくと予測されます。
カーシェアリングの普及と同時に、日本国内では「若者の車離れ」が加速しています。特に都市部では公共交通機関が充実していることにより、自動車の必要性そのものが低くなっているのが実情です。

 

私自身も大阪市在住の20代ですが、「普段乗らない車を所有するより、必要なときに借りる方が合理的だ」という考え方になりつつあります。もはや車は日常の必需品というより、「趣味」や「贅沢品」としての側面が強くなっていると感じます。実際、内閣府の消費動向調査によれば、30歳未満の世帯における自動車保有率は、2005年の67.1%から2021年には44.7%へと大きく低下しています。さらに警察庁の統計では、10代および20代の運転免許保有率は過去10年間で約12%減少しており、この傾向は今後も続くと見られています。
カーシェアリングの台頭に加え、学生や若年層の可処分所得の減少、都市部の交通利便性など、複合的な要因が重なり合っていると考えられます。

2.法人もカーシェアリングを利用

個人だけでなく、法人においてもカーシェアリングの活用が進んでいます。
多くのカーシェアリング事業者が法人向けのプランを充実させたことで、必要なときだけ車両を利用することが可能になりました。
これにより、社用車の保有をやめる企業が増加しています。背景には、車両維持費(リース代、車検・整備費、保険料など)や駐車場の賃料を削減したいという経営的な合理性があります。
実際に、東京都や大阪府など大都市圏では、社用車を所有せずカーシェアを活用する企業が2020年以降急増しています。また、脱炭素経営やSDGs対応の一環として、車両を減らす企業も少なくありません。今後、働き方改革やリモートワークの定着が進めば、さらなる社用車削減が進むことが予想されます。

3.自動車産業への影響

こうした動きは、自動車産業そのものにも影響を与えています。
日本国内の新車販売台数は、2014年の約556万台から2023年には約419万台へと大幅に減少しました。特に2020年以降は、新型コロナウイルスの影響や半導体不足などの外的要因もあり、販売数は大きく落ち込んでいます。
また、自家用車に対する価値観の変化も見逃せません。かつて「車を持つこと=一人前の証・ステータス」という認識があった時代から、「必要な時だけ利用する」というライフスタイルが当たり前になりつつあります。この変化は、土地活用の考え方にも大きな影響を与えます。

4.豊和開発のお仕事

ここまでの内容から明らかなように、カーシェアリングの普及により、自動車の「所有」から「利用」への転換が進むことで、駐車場の需要が徐々に減少しています。
特に若者や企業による車離れは、月極駐車場や社用駐車場といった従来型の土地活用モデルに陰りをもたらしてしまいます。都市部ではいまだに一定の駐車需要が見込まれますが、地方都市や郊外においては、駐車場経営がリスクの高い選択肢になる可能性も出てきています。
土地のポテンシャルを最大限に活かすには、「地域の交通環境」「周辺の人口動態」「テナント需要」など、あらゆる要素を踏まえたうえで、多角的に検討することが求められます。
カーシェアリングの普及は、単なる移動手段の変化にとどまらず、土地活用の在り方にまで影響を及ぼし始めています。「所有の時代」から「利用の時代」へと移り変わる中、従来の考え方にとらわれない柔軟な発想が求められます。
私たち豊和開発株式会社では、こうした社会動向を踏まえた、時代に即した土地活用のご提案をさせていただいております。地域にとって、地主様にとって最善のご提案ができるようこれからも尽力してまいります。