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2022/09/16 |  社員ブログ

建築計画を行う前に

豊和開発株式会社設計監理部に所属している長浜と申します。
本記事をお読みの皆さんは建築計画を行うにあたって、どのような条件でプランを検討するのか、敷地条件などをどこまで考慮すればいいのか、と考えたことはありませんか?
私は豊和開発に入社して約2年が過ぎましたが、有料老人ホームや、障害者グループホームを建築するにあたって経験した役所協議や敷地調査を通じて、各市町村の建築物に関わる指導や、敷地条件の重要性をあらためて認識することが出来ました。
建築計画は、敷地の条件や形状、各行政の指導など多くの規制の上でプランを検討しなければなりません。そして各市町村毎に指導の基準が違うため、事前に確認を行わないとプランが成り立たなくなるといった事があり得ます。そんな事態を避けるため、プラン検討前に敷地調査や役所調査を行います。
今回は建築計画に必要な、敷地調査・役所調査をどのようなモノなのか、本記事で紹介させて頂きたいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.敷地調査とは

建築計画を行うにあたって敷地条件は非常に重要です。
一口に「敷地」といっても、敷地ごとに様々な規制があります。
例えば、地目が「農地・畑」で登記されている土地には、たとえ自分名義の土地であっても勝手に建築物を建てることはできません。
「農地・畑」に建築するためには、農地を宅地に転換する「農地転用」の届出を市町村に提出し、農業委員会に許可してもらう事が必要です。
また、敷地ごとに定められている、用途地域や建蔽率・容積率などによっても、お客様が希望する建築が出来ない場合があります。例えば、同じ大きさの敷地であっても、市町村や用途地域の違いによって、建築可能な建物の大きさが変わってきます。 このように建物を建築するためには、その敷地にどのような規制がかかっているのか、どのような法令を遵守しなければならないのか、どのような届出が必要なのかをはじめに調査する事は欠かせません。そうして初めて、お客様の土地にあった、実現可能で最適なプランを提案する事ができるのです。

もしも、新築建築の計画が始まってしまってから規制を調べていたのでは、
工事が進んだ後になって、この計画は成り立たないということが判明する可能性があります。
そんな事態は絶対に避けなければいけない、という事は想像に難くありません。
敷地調査の結果次第で建築可能な建物が決まる、といっても過言ではないです。
トラブルを避ける為や、どのようにすればより良い建築物ができるかを考える為にも敷地調査は非常に大切なのです。

2.現地確認

敷地調査を行うにあたって 実際に現地に赴き敷地を調査します。
①全体像の把握
・計画建物の敷地上に建物をイメージします。
②設備状況のチェック
・給水引込、メーターの有無・排水引込、桝の有無(汚水・雨水)・ガス・電気の確認を行います。
③前面道路のチェック
・道路幅員の確認・電柱、電線位置・その他標識や樹木などの確認を行います。
④現況チェック
・敷地内の既存擁壁、ブロック、フェンス・道路・敷地内の高低差・境界杭、鋲の有無
工事に支障となる既存構造物はないか、敷地内だけではなく隣地も確認します。
越境物などは後々問題となることが多いので、見落とす事がないよう注意が必要です。
他にも建物配置を出すために必要な境界杭の有無の確認も確実に行います。

3.役所調査

役所調査については主に
・用途地域【建ぺい率・容積率・高さ制限・前面道路幅員別容積率制限・道路斜線制限・隣地斜線制限・日影規制】
・開発許可(知事等が開発許可を与えるか否かを審査する基準)
・道路調査(建築基準法上の道路扱いの判定、道路幅員、道路名、道路状況
・ライフラインの確認(上下水道、ガス等)
・駐車場、駐輪場の附置義務(各行政で新たに一定規模以上の施設を新築又は増築等する際に、自転車駐車場の設置を条例で義務)
・公園、緑地計画整備
・バリアフリー条例(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
・まちづくり条例(個性的で快適な都市環境を形成するために都道府県や市町村が定める条例)
・埋蔵文化財 (埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合届出が必要)
等々多くの確認事項があり、確認を怠れば建築計画が成り立たないという事も起こり得ます。
役所との事前協議を終わらせ、調査報告書を審査機関に提出しないと、建築計画に必要な建築確認済証を取得する事はできません。
初めて役所協議に行った際は、協議内容も事細かく基準があり、大変苦戦しましたが、
各行政条例にはそれぞれに意味があり、各地域ごとに建物の安心・安全が確保されているのだと気付く事ができました。

4.まとめ

立地条件・敷地形状・行政指導によってプランは大きく左右されます。
また、敷地調査・現地確認・市町村指導以外にも建築基準法や消防法など
行政への申請や、検討すべき事柄が多々あります。
私はまだまだ至らぬ点もあり、役所協議でもよく苦労しますが、日々学び新しい分野に挑戦する向上心を忘れず、発注者様の要望を実現する力、法令遵守はもちろん、社会に必要とされる建物を設計する建築士になれるよう、努力してまいります。