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2024/01/19 |  社員ブログ

建物と災害について思う事

あけましておめでとうございます。設計監理部の山本と申します。
ここ近年はコロナウイルスが蔓延し、世界的大混乱が巻き起こりました。現在に至ってはコロナ感染は「2類相当感染症」から「5類感染症」になり、予防はまだまだ欠かせない日々ですが、ほとんど終息に近づいている頃だと思われます。

今回の投稿では、ウイルスから解放されつつある2024年の年明け早々に起きた石川県能登半島地震について建物が災害に対してどのような対策をしているのか、またいつ頃から災害対策がされていたのか、歴史や工夫など自分の考えも交えつつまとめてみました。

- 目次 -
CONTENTS

1.日本は〇〇大国

日本はアニメや漫画といったポップカルチャーや、自動車や半導体、鉄鋼などの工業製品や精密機械が他の国より優れ、経済大国と称されることがあります。

他には島国という事から台風が訪れやすく大雨大国と言われることもあります。その中でも特に話題に上るのが地震大国です。
過去に阪神淡路大震災や東日本大震災などまだ記憶にあるぐらいとても地震が多い印象です。

日本は4つのプレートが重なり合う為、マグニチュード5.5以上の地震の頻度(1980年から2000年にかけての20年間の年平均回数)を見ると、日本は年1.14回であり、中国の2.1回、インドネシアの1.62回、イランの1.43回に次ぐ、世界第4位の地震大国となっています。そんな地震の多い日本ではいろいろな対策が考えられています。

木造では耐力壁や筋交い材、パネル工法などがあり、RC造やSRC造なども地震に対して力を入れているものです。
特にRC造(鉄筋コンクリート造)は1923年に起きた関東大震災の経験から広く使用されるようになり、今も地震に強い構造の研究や開発が進んでおります。

このように日本は災害・地震に対する意識や考え方が過去の経験から成長と遂げています。今回の令和6年能登半島地震については地震と津波が引き起こした自然災害です。
輪島朝市通りなどの古い家屋は1階部分が崩れ落ちたり、地震の影響による火災で多くの被害者が出てしまいました。

しっかり対策や予防をしていても災害が起きてしまう事には変わりありません。もし災害がおきても最小限の被害で抑えることが私たち設計の仕事だと思いました。例えば2方向避難や避難経路の考察。天井に界壁を設置すると炎がでても燃え広がらないなど工夫がたくさんあります。

2.地震に対する3つの考え方

地震の揺れに対する建築の考え方としては、主に3つに分けられます。
揺れに耐える「耐震」、揺れを吸収する「制震」、揺れを伝えない「免震」があります。

「耐震・耐震性」の強度を上げるものとして筋交いがあります。
柱と梁の形造る長方形は、接合部の強度に余裕がないと、地震や暴風などの水平力を受けたときに平行四辺形にひしゃげるように変形してしまいます。
そこで、対角線状に筋交いを加えて三角形の構造を作り、変形を防止する筋交いは圧縮と引っ張りの力が建物全体と釣り合う事で成立しています。筋交いには種類があり外壁や主要構造部周辺に使用される(たすき掛け)と間仕切り壁に使用される(片筋交い)があります。筋交いは木造だけでなくRC造、SRC造。はたまた家具や箱を形成する上で多く見かける事があり、建物では「耐震」、モノでは「補強」といった意味になります。

「制震」は建物内で自信の揺れを吸収する構造です。高層ビルやマンションといった上階になるにつれ揺れが大きくなるところに使われます。

「免震」地震の揺れが建物へ直に伝わりにくくする、建物と地盤を切り離した構造です。モノに例えるならゴムやバネです。この性質は鋼材の塑性変形を利用した「履歴系」に該当し、他には粘性体のせん断変形を利用した「粘性系」、錘が動く時の慣性力を利用した「質量系」の3種類があります。

制震は建物に制震装置を設置し地震の揺れを吸収して抑制する技術で1戸建て住宅からマンション、東京タワーやあべのハルカスといった高層ビルにも使用されています。この3つの地震に対する対策について(形を崩さない耐震)と(形で揺れを抑える制震)、(そもそも揺れを形に感じさせない免震)は建物を守ると同時に周辺の地域や周りの人を不安にさせないことなどにも発展しています。

3.まとめ

このコラム記事の作成を通して、災害による被害の発生は避けられなくとも、建物の部材の意味を理解する事で少しでも被害を抑えることが大切だと感じました。
今回の石川県能登半島地震は火災、津波による水害、土砂災害などいくつもの要因が重なった事から地震対策だけでは解決できませんでしたが、日本が地震大国であることに対する意識や技術の進歩が見えます。

「日本は○○大国」「地震に対する3つの考え方」と2つの表題にて、地震に対する様々な工夫や自分は思う事を書いてみました。
建物は縦と横の柱だけでなく必ず支える材料があります。

今回は耐震をテーマに筋交いがピックアップされていましたが他にも風に耐えられる「火打ち梁」や湿気が溜まらないようにする「床下換気口」などそれぞれが独自の役割を持っている部材ばかりです。気になる方は是非l度自分なりに調べてみると様々な発見があるかもしれません。