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2022/02/05 |  社員ブログ

建築業界における3Dプリンタの活用

建築工事現場というと、どのような景色を想像されますか?
一般的にはショベルカーやブルドーザー、クレーン車やミキサー車等が出入りし、工事を進めているイメージが思い浮かぶのでは無いでしょうか。
今回は、近い将来工事現場の風景が変わる?!かも知れないトピックについてお話させていただこうと思います。
それは、3Dプリンタです。
3Dプリンタといえば、建築業界では主に建築模型をつくるために使用されていました。ですが今では、工法によりますが各種建築部材を作ったり、建築物そのものを3Dプリンタで作る例も見られるようになってきているのです。

- 目次 -
CONTENTS

1.3Dプリンタで建築物を建てる

海外では、2015年頃に中国で3Dプリンタでの住宅建築が試験的に始まり、その後2017年までにフィリピンやUAE、ロシアでも3Dプリンタによる建築が始まっています。3Dプリンタでの建築で驚くのはその工期の短さで、例えばUAE建築されたオフィス(高さ6メートル、奥行きは37メートル)は内装工事を含め、何と約17日間で完成したと発表されています。他にも平面の一戸建てを24時間で完成させたといった事例もありました。
3Dプリンタの建築は、工法の面で大きく2つに分けられます。
まず、工場であらかじめ建物のパーツとなる部材を3Dプリンタで作り、それらを現場に運び込んで組み立てるプレキャスト工法。
もうひとつは、建築現場に3Dプリンタを持ち込み、その場で各種建物のパーツを作り、建てていくする工法です。
どちらの工法であっても作業の中心となる機械は、3D-CADデータを基に立体物を自動で製作するプログラムにしたがって動くコンクリートの吐出機です。
現在の主流はクレーン型をしたタイプで、先端のノズルからコンクリートを吐出しながら動き、型枠なしで数センチずつ壁を作っていきます。ただし、建てられる高さに限界があることから、現在は自走式の小型吐出機の開発も進んでいるそうです。

2.日本における3Dプリンタ建築は?

海外において非常に期待を感じる3Dプリンタでの建築ですが、日本ではどうなっているのでしょうか?
実は日本では3Dプリンターでの住宅建築は、日本の「建築基準法が定める建築物の強度(耐風・耐火・耐震性など)」に対応しておらず、法律の観点から導入できない事となっています。
日本は地震が多い土地柄であるため、とりわけ耐震基準については世界的に見てもっとも厳しいと言われています。建築基準法は強度性能を満たす以外にも使用する素材や工法がある程度決まっており、無筋・鉄筋関係なく、耐震性も含め法律に沿った作り方をしなければなりません。また、JISにより鉄筋の太さ、スパン、コンクリート砂利等の割合、スランプなども細かく決まっているのです。
3Dプリンター建築が日本で普及していくには、この厳しい基準をクリアしなければならず、現状では法律の改正が行なわれない以上は難しいと言われています。
ただし、日本国内についても建築確認申請が不要な現場については少しずつ導入されています。
大手ゼネコン各社では、3Dプリンターならではの意匠性や高生産性に着目し、住宅ではありませんが埋設型枠や小規模な橋などを施工する等水面下で研究開発を行っているようですので、法との兼合いにはなりますが今後もこの流れは拡大していくと思われます。

3.日本の3Dプリンタによる住宅建築

上記建築基準法の対象外となる「床面積10平方メートル」以下の住宅については、日本国内においても2022年2月より販売が始まるそうです。
原材料はコンクリートとなっており、3Dプリンターで天井、床、外壁を建設した上で、内装や電気設備は従来の施工方法で対応する建築物となるこの建物は、3Dプリンターでのによる現地施工で、床面積100平方メートル当たり約24時間(!)で施工が完了するそうです。
一般的な建築物の外壁は構造用の合板や断熱材、室内下地、クロスなど何層にもなりますが、この建物はコンクリートの素材だけで構成されているそうで、日本よりも高いヨーロッパの断熱性基準をクリアしているとの事でした。

国内のグランピング施設へ導入を検討されているそうですので、一度快適性などを確かめに行ってみたいものです。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
3Dプリンタによる建築革命が近い将来起こるのかも知れませんね。
建築の工法は様々ですが、日々新たな技術も生まれているのだな、と実感しました。
私も各工法それぞれの良さを学び、理解した上で今後も業務を進めていきたいと思います。