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2024/09/06 |  社員ブログ

基礎の埋め戻し方法について

こんにちは。私は豊和開発株式会社の設計監理部で意匠設計、設計監理を担当している小浦です。

前回は基礎の型枠に生コンクリートを流し込む「打設」についてお話しました。

生コンクリートが流し込まれた後、夕方に「打設」が終わって、あくる日の朝には完全に固まります。

実は、流し込んでいる矢先、生コンクリートは次々に固まっていきます。ですので、流し込んでしまうと後戻りはできないわけです。
基礎の型枠の形状(大きさ)は構造図通りの大きさで設置しなければならないのでが、その大きさを表現している図面が基礎伏図です。基礎伏図は現場監督さんと設計者と2者がチェックをして型枠業者さんに渡し、型枠を加工して、基礎、地中梁、柱脚の型枠を工事現場で組み立てもらいます。

ちなみにこの基礎伏図を見て鉄筋業者さんも、基礎、地中梁、柱脚の鉄筋の長さや大きさなど決めてを加工します。図面の記載に間違えがあると構造に欠陥が生じて大変なことになってしまいます。基礎伏図は建物の地中に埋まる重要な土台のもととなる図面です。

- 目次 -
CONTENTS

1.生コンクリートとコンクリートと型枠バラし

ここで前回話を残していました、生コンクリートとコンクリートとの違いを説明しておきます。

コンクリートは、セメント・砂・砂利に混和剤と呼ばれる薬品を混合し、水を加えて練り混ぜて固めたもの(固まった状態のもの)ことです。

生コンクリートは、固まる前のやわらかい状態のことで、工場で生コンクリートの配合を行い柔らかい(ドロドロの状態)状態で作業ができるよう現場に運ばれて来ます。生コンクリートは、コンクリートが固まる前の状態のことになります。

 

コンクリート打設が終わってあくる日の朝、生コンクリートは基礎型枠の中でコンクリートとなって固まっていますが、すぐには基礎型枠を取り外せるわけではありません。コンクリートは固まっていますが、ある規定の強度が出ないと型枠を取り外せないのです。

ちなみに、型枠を取り外すことを解体といいます。現場では 「型枠をバラす」といいます。ちょっと危険な言葉と感じますね、笑。大体夏なら、2、3日で規定の強度が出ます。基礎型枠はバラされ、その型枠は一度保管場所に運ばれ表面のコンクリートの付着等を清掃して、基礎型枠としてまた再利用されます。基礎の型枠は地中に隠れるので、再利用の型枠を使うことが多いです。

 

昔に使ったセパ穴(セパレーターの金物の穴)が開いた型枠があります。その穴が開いた状態だと、生コンクリートがその穴から流れ出してしますので、その穴を詰める専用の部材もあります。型枠を解体した後にその形跡がコンクリートの模様となっていることがあります。基礎のコンクリートの表面を観察することも面白いです。型枠の表面の状態が、コンクリートの表面の状態になりますので、表裏一体を感じます。
その型枠は何回も再利用され、表面がボロボロになってくると、型枠の表面の木片がバラしたときにコンクリートにへばりついたりしてしまうので、型枠をバラしてから、コンクリート表面の清掃に手間がかかってしまいますので、ボロボロになった型枠は、その役割を終えます。

2.転圧

基礎の型枠をバラし、型枠材を搬出した後、もともと基礎のために掘り起こした土をもとに戻すため、埋め戻しをします。

大きな現場で、敷地に余裕がある現場や、その現場に将来駐車場などの、建物が建たない場所があったり、近くに施工会社が建設している場所で余裕がある場所があれば、その場所に土を仮置きして、その土を再び埋め戻します。

大きな現場で、基礎工事の時、近くに山盛りになった土があれば、土を借り置きしているものであると見て、間違いないです。そういう場所がない場合は、一度掘り起こした土は残土処分といって、捨てることになります。

 

そして、新たに埋め戻すために、土を運びこまなければなりません。残土処分の費用と新たな埋め戻しの為の土が必要で建設費用も二重に掛かってしまうので、仮置きすることが理想です。

埋め戻しは単に土を入れるだけではなく、土を入れた後、転圧をします。転圧とは、ランマーやローラーなどを用いて、土を締め固め土を平滑にすることです。土の密度を高め、安定化を図ります。乱された土や、密度が小さい砂の上は、柔らかくて不安定です。建築の土工事では埋め戻した土は必ず転圧をします。転圧をしないと、土が時間に経つにつれて下がってしまい建物が傾いたりその上にあるものが沈んだりするので大切な作業です。

 

ランマーを使用する場合、プレートが振動して土が締め固まります。一方、ローラーは道路工事でよく使われるものです。この機械は自重(機械の重さ)で土の上を転がることで締め固めることになります。この機械で作業することさまが転圧「転がって圧力をかける」にふさわしい言葉ですね。ランマーは振動で締固めるので 「振圧」 かな? 

 

現場での土工事の締固める作業をすべて転圧といいます。転圧にも作業の方法があり、例えば、2mぐらいの深さの埋め戻しがある場合、2mいっぺんに埋め戻しをし、一番上で転圧機(ランマー)で転圧しても、一番下の方は、振動が届かないので、締固めができていない状態とになります。時間が経つにつれて、後で沈んでしまうことになり、大変なことになります。土を入れるとき、0.3~0.5mぐらいの厚さで土を入れ、転圧し、また0.3~0.5mぐらいの厚さで土を入れ、また転圧し、それを繰り返します。

埋め戻しは、転圧された土の地層となるわけですね。お菓子で言うと、まるでミルフィーユみたいな感じですね。その作業によってしっかりした締固めができ、土は沈まない状態となり安定することとなります。転圧は重要な作業であることがわかると思います。

3.1階の床

基礎の型枠がバラされた後、基礎のまわりは、土が取り除かれていましたので、土を入れ、転圧され、埋め戻しが完了します。

この作業の後、基礎の上に、地下がある場合は地下の床、1階の場合は1階の床があります。埋め戻された土の上に床あります。木造の場合や、鉄骨造、コンクリート造の場合では、床の構造が違うので、今回は、鉄骨造、コンクリート造の場合のお話をします。
地下がない場合、土の上に1階の床があるので、床が土間コンクリートとなります。その場合、先ほど述べた、転圧が重要になります。転圧が不十分の場合では土間コンクリートの下の土が沈んでしまい、空洞ができてしまいます。土間コンクリートは構造体ではないので、コンクリート自体がゆがみ下がってしまいます。コンクリートの表面にひび割れが起こり、コンクリート表面に仕上げをする場合、その仕上げになんらかの悪影響を及ぼしてしまいます。

 

基礎の内部の土の転圧が不十分な場合の話をしましたが、基礎の外周といえば、一般に建物の外周になり、外構となります。建物周りもこの転圧が不十分の場合、建物が完成してから、時間が経つにつれて、建物周りの床が下がってしまうことになって大変なことになります。

4.まとめ

基礎が出来上がってから土を埋め戻して1階の床を造るわけですが、埋め戻しがいかに重要なのかが、お解りになったと思います。

土工事も監督さんの管理は大変で、手を抜くことはできません。作業が終われば、見えなくなる部分なので、妥協は許されません。

作業をしている人も、手を抜かず隅々まで気を付けて作業をしています。監督さんも建物が完成してからトラブルにならないように、しっかりと管理をしています。