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2021/03/19 |  社員ブログ

準耐火建築物について

こんにちは。
私は豊和開発株式会社の設計監理部で、プランニング、確認申請、意匠設計などを担当しています。

豊和開発は「老人福祉施設」「医療施設」「保育所」などの設計施工業務を行っており、建物の用途は多岐に渡りますが、その建物の構造も各案件で異なっており、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造と様々です。
そして、火災時において求められる耐火の性能も用途、規模、地域などにより異なり、市街地においては「耐火建築物」「準耐火建築物」「外壁や軒裏を防火構造にすること等」のいづれかにすることが建築基準法で定められています。
                                       例えばですが、都市計画で決められた「準防火地域」という地域内で、地下を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下の建物は、「準耐火建築物」にする必要があります。
この500~1,500㎡という規模は、豊和開発が行う設計業務で度々担当することがあります。

そこで今回は、この「準耐火建築物」をテーマとして取り上げ、ご説明させて頂こうと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.準耐火建築物とは

準耐火建築物とは、

「耐火建築物以外の建築物で、主要構造部を準耐火構造等にしたもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有するものをいう。」

と建築基準法で定義されています。

次の章では、準耐火建築物の構造の一種である、「準耐火構造」とはどういった構造なのかご説明させて頂きます。

2.準耐火構造とは

準耐火構造とは「壁、柱、床などが、準耐火性能に関して政令で定める基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は・・・(以下、略)」です。                                             
                                                ここで、「準耐火性能に関して政令で定める基準に適合するもの」とはいったいどういったものなのでしょうか?
それらの基準をまとめますと、
・火熱が加えられた場合に壁・柱・床・はり・であれば45分間
・屋根・階段であれば30分間
・上記時間、構造耐力上支障のある変形、溶解、破壊を生じないもの
といったものです。
                                                 そして「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの」ですが、これは国土交通省が公表している告示で具体的に示されており、例えば木造の間仕切壁の両面には15mm以上のプラスター(石膏)ボードを張る、といった具合です。
これは一例で、他の部分についても具体的な条件が明記されています。
以上で、準耐火構造がどういったものなのかが分かりました。

ここで前章の準耐火建築物の定義に戻ってください。
もう一つの条件「外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有するもの」とあります。
こちらの条件も満たす必要がありますので、次の章ではこれについてご説明させて頂きます。

3.防火設備とは

防火設備とは、ビル等のサッシで網入りのガラスが入っているものをご見たことががあると思いますが、あのサッシのことです。
他にも、網の代わりに耐熱強化ガラスを用いたサッシや、金属ドア等の防火設備もあります。
「防火設備を有するもの」とは、その構造が遮炎性能に適合するもので、国土交通省大臣が定めた構造方法を用いるもの又は認定を受けたもののことです。

さて、ここでポイントなのが「外壁の開口部で延焼のおそれのある部分」という内容です。
延焼のおそれのある部分とはいったいどういった部分なのでしょうか?

それは、敷地と建築物の配置において、
「隣地境界線又は道路中心線から、一階は3m以下、二階以上は5m以下の距離にある建築物の部分」です。
よって、その範囲内に建築物の外壁の開口部がある場合、遮炎性能のある防火サッシなどが求められます。
また、範囲を外れる部分においては特に規定がないので一般的なサッシでよいことになります。

4.まとめ

大まかにまとめますと、

準耐火建築物とは、
・耐火建築物以外の建築物
・壁・柱・床・はり・であれば45分間、屋根・階段であれば30分間、
 構造耐力 上支障のある変形、溶解、破壊を生じないもの。
・具体的な構造については告示に明記されている。
・隣地境界線又は道路中心線から、一階は3m以下、二階以上は5m以下の
 距離にある建築物の部分に防火設備を設ける
以上の条件を満たすものが、準耐火建築物となります。

準耐火建築物は耐火建築物ほど優れてはいませんが、ある程度までは火災に耐える性能のある建築物ですので、都市計画の防火地域や準防火地域のような建物が密集している地域、また特殊建築物に求められます。

さらに、建築基準法に該当していなくても、都道府県の条例に該当する場合は、耐火建築物や準耐火建築物にすることを求められたりもします。

いかがでしたでしょうか。
今回は、準耐火建築物についてご説明させて頂きました。
まだまだ私自身、覚えるべき法令が山ほどありますが、今後も一つずつ経験しながら地道に知識を積み上げ、日頃の設計業務に生かしていければと思っています。

設計監理部 野田