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2024/04/05 |  社員ブログ

コンクリート「打設」とは

こんにちは。私は豊和開発株式会社の設計監理部で意匠設計、設計監理を担当している小浦です。前回は基礎を形成するための型枠工事・型枠についてお話しました。

今回は、次の工事工程についてお話します。基礎の配筋が終わり、その基礎配筋の周りに型枠を設置し終わると基礎型枠の中に生コンクリートを流しこむ工事になります。

その生コンクリートの作業について今回はお話します。この生コンクリートを流し込む作業を「打設」といいます。「打設」は、「だせつ」と読みます。生コンクリートを型枠に充填する際に、木の棒や木槌などで型枠の表面をたたいて空気や水を追い出す動作に由来しています。

つまり、「打設」とは、生コンクリートを打ってたたいて、固まったコンクリートを設置するということです。ここで生コンクリートとコンクリートという言葉がありますが、この二つの違いはまたの機会にお話しします。

- 目次 -
CONTENTS

1.コンクリートポンプ車

コンクリート打設についてお話した次は、基礎の型枠に生コンクリートを流し込む打設作業についてお話します。

生コンクリートを流し込む際に使わる主な機械として、生コンクリートを作っている、生コンクリート工場(プラント)から生コンクリートを運ぶための①ミキサー車。型枠の中に生コンクリートを流し込む為に、生コンクリートを圧送する為の②コンクリートポンプ車。生コンクリートを緊密に流し込むための③バイブレーター。この3つはコンクリート打設には欠かせない機械となります。

 

その②のコンクリートポンプ車のお話をします。生コンクリートをミキサー車で現場に運んで現場の前に待機しているコンクリートポンプ車の中に、ミキサー車から生コンクリートをコンクリートポンプ車の後ろのバケツに流し込み、コンクリートポンプ車から出ているブームと呼ばれる手のような部分を動かしてブームの先端にあるホースの口から、基礎型枠に生コンクリートを流し込みます。

このコンクリートポンプ車のブームで目的の打設場所まで先端を移動し打設したい基礎型枠部分に、生コンクリートを打設します。生コンクリートの打設箇所は1ヶ所に集中するなではなく、いろんな場所で打設するためブームが届く範囲であれば、 打設箇所に応じてブームを移動していくのですごく便利です。ブームが基礎型枠の打設場所に足りない場合は配管やホースをつなげていく事になり、 打設したい場所に人が配管やホースを運んで動かして打設します。

この配管は鉄管で、ホースは水道用のホースと違って、生コンクリートが流れるために頑丈に作られていて、二つとも案外重いので、コンクリートポンプ車のブームが届かない場合は人力作業で動かさないといけないので、結構大変です。打設する場所は流し込んでいく都度に次から次へと移動するから、人の作業を考えると、配管やホースを運ばなくてよいように、このコンクリートポンプ車のブームの先のホースから、生コンクリートを打設する方が楽です。

2.バイブレーター

次に③のバイブレーターについてお話します。このバイブレーターが大変重要な役割を果たします。生コンクリートはドロドロで砕石骨材(石ころ)が入っているため、ただ型枠の上から流し込むと空隙(くうげき)ができます。

なおかつ、基礎には構造的に重要な骨となる鉄筋があり、生コンクリートの流れを阻みます。阻まれてしまうとどうなるのか。生コンクリートに「す」ができる。隙間ができるのです。 そのまま隙間が空いた状態でほっておくと隙間ができた状態で生コンクリートが固まってしまうのです。

これは基礎にとって、重大な欠陥であります。生コンクリートが密に固まって初めて構造体としての役割を果たすのです。この欠陥を無くすためにバイブレーターという機械が大事なのです。この機械は振動によってドロドロの生コンクリートが滑らかになり鉄筋の隙間や骨材どうしの隙間に生コンクリートが流れ込んでいきます。

そして、生コンクリートが密になり、隙間がなくなっていくのです。これで基礎として構造体の役割を果たすのです。

3.コンクリート

次に型枠に生コンクリートを流し込む作業として、生コンクリートの量を計算しなければならないです。

大型ミキサー車1台で積み込まれる生コンクリートの量が4.5㎥なので、基礎全体のボリューム÷4.5㎥でミキサー車が何台必要かが決まります。

 

生コンクリートの流し込む量はまず図面上で計算します。基礎の図面は基礎伏図といいます。基礎伏図には、基礎の大きさや長さが記載されています。基礎伏図は型枠の形なので、基礎の大きさによる生コンクリートのボリュームは一般に「縦」掛ける「横」掛ける「長さ」で計算されます。実際は基礎の中に鉄筋が配置されているので、その分生コンクリートは少なくなっています。

しかし、鉄筋の量は大体体積に対して2%ぐらいです。現場を施工している現場監督が計算して生コンクリートを発注するのですが、この鉄筋の2%は微々たる数値なので、差し引きはしないのです。

一番大事なのは、現場で最終的に最後のコンクリートミキサー車の生コンクリートが、基礎の型枠に流し込んで丁度なくなることが理想なんです。「ぴったし」いかないことが現場です。やはり、図面上と現場とで差異が出てしまうのが常なのです。

最後の1台を1㎥から4.5㎥の間で発注するのですが、生コンクリートを多く残してしまうと残った生コンクリートは返却してしまうことになります。この返却する生コンクリートの代金は現場での出費になるので、無駄なお金になってしまうのです。

もし少なく発注してしまうと、生コンクリートを流し込む量が足りなくなり、基礎の一部が欠落した状態になってしまいます。足りないと分かった時点でもう一台発注するのですが、生コンクリート工場(プラント)から現場まで近ければすぐに届きますが、そううまい具合の現場は少ないです。時間がかかってしまうのです。その場合、生コンクリートを打設している作業員を待たすことにになり、迷惑がかかってしまいます。

だから、最後のミキサー車の手配は神経をとがらせて残りの型枠にどれだけ生コンクリートが流し込めるかを計算して発注します。やはり、図面上と現場とで、違いが発生することが面白いところです。現場監督の腕の見せ所です。

4.まとめ

基礎のコンクリート打設は基礎の形状が長方形の形で計算はしやすいのですが、最終的に現場での生コンクリートのボリュームの発注を決めるのは現場監督の采配です。

現場では、生コンクリートの計算はボリューム計算とは言はず、生コンクリートの単位である、㎥(リュウベイ)計算と言います。現場特有の表現方法だと思います。

どこの現場にも基礎があり、毎回この作業は出てきます。現場では、コンクリート打設のたびに現場の経費と戦っています。これが現場での仕事の醍醐味のひとつではないでしょうか。次回は基礎のコンクリート打設が終わってからのお話します。