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2025/06/20 |  社員ブログ

不課税・非課税・免税の違い

消費税の区分として「課税」「不課税」「非課税」「免税」がありますが、このうち「不課税」「非課税」「免税」の3つに関しては、言葉の意味から類推して、全て消費税がかからないであろうというのは理解できるかと思います。
消費税がかからないということは同じですが、厳密に言うと、この3つには違いがあり、経理処理上、区分しないと消費税納税額を間違えることもありえます。

今回は消費税がかからない「不課税」「非課税」「免税」の3つについて、あらためて復習してみたいと思います。

まずは、消費税がどんな取引についてかかる税金か、ということをおさらいしてみましょう。

- 目次 -
CONTENTS

1.消費税がかかる取引

消費税は「国内において」「事業者が事業として」「対価を得て」「資産の譲渡・貸付及び役務の提供」を行う取引についてかかる税金です。
「国内」「事業者が事業として」「対価を得て」「資産の譲渡・・・」というのを一般的には消費税の4要件といい、この要件に全てあてはまる場合のみ消費税が課税となります。
事業者とは、法人は基本的に事業を目的としているため、法人はもちろん含まれますし、個人事業者も含まれます。

2.消費税「不課税」とは

では、「不課税」とは何かというと、上記4要件を1つでも満たさない取引をいいます。
例えば、個人が知人にいらなくなったブランド品を売った場合、「国内」「対価を得て」「資産の譲渡・・・」という要件は満たしていますが、「事業者が事業として」という消費税課税の要件を満たさないため、消費税がかからない取引となります。

仮に個人事業者であっても、プライベートで使用している車を知人に売った場合、事業として行う取引ではありませんので、消費税がかからない取引となります。

3.消費税「非課税」とは

次に「非課税」とは何かというと、前述した4要件にあてはまるものの、社会政策上、消費税を課税するのにそぐわない取引について、消費税を課税しない、と決められているものです。
代表的なものとして、土地の譲渡・貸付、住宅の貸付、保険料、医療費などがあります。
例えば、医療費で言うと、医師や医療法人といった事業者が事業として、国内で医療という役務(サービス)を提供する→つまり消費税の4要件を全て満たした取引となり、本来、消費税課税の取引と言えますが、社会政策的な配慮に基づき、消費税は課税しないと決められており、「非課税」となります。
※ただし、保険診療分のみ。自費診療については消費税は課税です。自費診療といえば、予防接種や健康診断などがありますが、それらは消費税課税です。

4.消費税「免税」とは

では、免税とは何かというと、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対する役務の提供など「輸出類似取引」と呼ばれるものは「免税」となり消費税がかかりません。
空港にある免税店や街中で「免税」とうたっている店舗はこの制度にのっとったものとなります。
消費税課税の4要件から見た場合、輸出は資産を引き渡した時点ではその資産は「国内」にあるため、消費税4要件の「国内」「事業者」「事業として」「対価を得て・・・」の全てを満たし、消費税課税と思われます。
しかし、消費税は「国内での消費について課税する」という税であることから、外国で消費されるものについて課税するのは、消費税の趣旨にそぐわないということで、「本来は課税だけど、免除しますよ」ということで「免税」取引となります。
近年、この免税制度(本来は国外に持ち出すことが前提での免税)を悪用し、国内で転売したりと不正が後をたたないこともあり、免税制度について改正が行われます。
そのうちの1つとして、2026年11月から「購入時免税」から「リファンド方式」に改正されます。

 

※購入時免税
 購入時に消費税を支払う必要はなし
 出国時に商品が持ち出されているか確認し、持ち出されていない場合、消費税を払う
※リファンド方式
 購入時に消費税を払い、出国時に持ち出しが確認できた場合に後から消費税を還付するという方式

 

そもそも外国人観光客に対する消費税免税制度自体をなくすべきでは、という議論もあります。外国人観光客の急増により、観光公害の問題が取り沙汰されており、外国人観光客受入数のコントロールや観光公害対策を目的として、観光税の導入などと含め、消費税免税制度についても活発に議論されています。

5.経理処理上、明確に区分する理由

消費者目線から考えると、「不課税」であろうと、「非課税」であろうと、「免税」であろうと、消費税がかからないという事実は変わらず、区分する必要はありませんが、消費税を申告、納める側(会社や個人事業者)から見た場合には区分する必要があります。
その理由は消費税申告、納付にあたり、「課税売上割合」によって、消費税額の計算がかわるからです。
消費税の納税額は「受け取った消費税」-「支払った消費税」で計算しますが、計算にあたり、課税売上割合が95%以上、かつ、課税売上高が5億円以下であれば、支払った消費税額を全額控除することができますが、この要件にあてはまらない場合、支払った税額を全て控除することができません。

 

なお、課税売上割合は下記の計算式で計算します。
課税売上割合=課税売上高/総売上高(課税売上高+非課税売上高)

 

仮に「課税」なのに間違って「非課税」と区分してしまったり、反対に「非課税」なのに「課税」と間違って区分すると、この課税売上割合を正しく計算できません。
詳細は省きますが、課税売上割合が95%未満、課税売上高5億円超えとなった場合、支払った消費税額を全額控除できませんが、では、消費税納税額をどう計算するかと言うと、ここでも課税売上割合を用いますので、課税売上割合を間違うと、つまり課税、非課税の区分を間違うと消費税納税額の計算を間違うことになります。
よって、会社や個人事業者は「課税」「非課税」といった区分を厳密に行う必要があります。
【豊和開発株式会社 木村】