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2021/08/03 |  社員ブログ

長引くコロナ禍によるウッドショック

設計監理部の大谷です。私は前回のコラムにて「新型コロナによる建築設計の変化と影響」とゆうテーマで記事を書かせて頂きました。そこではクライアントから求められる設計業務の変化や、物流やニーズの変化による工事工程、監理業務への影響について記載しています。その後も長引く新型コロナの感染拡大により、設計監理業務に新たな影響がでています。その中で今回は、輸入木材の不足(ウッドショック)をテーマに記事を書きたいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.ウッドショックとは

現在起きているウッドショックは、アメリカ国内において新型コロナの感染拡大による在宅ワークやリモートワークなどの普及の影響で郊外への移住者が増え、経済政策による住宅ローンの金利低下も追い風となり、住宅建築の需要が一気に高まりました。同じように世界的な建築木材の需要も高まりました。また、海外に木材を大量に運ぶ為のコンテナ不足等といった複数の要因が絡み合ってウッドショックは起こったと言われています。これにより需要と供給のバランスが崩れ、木材価格が高騰しました。現在、日本では国産材よりも輸入木材の方が多く使われており、日本国内においても木材が手に入りにくい状況となっております。

2.コスト面への影響

弊社で扱う建築工法としては、主に木造と鉄骨造です。建物用途や規模、クライアントの要望等により建築工法が決まります。建築工法を選択する際の大きな要因として、「建築コスト」「建物の耐火性能」「減価償却資産が利用に耐える年数(耐用年数)」があります。耐火建築物とする必要がなく、耐用年数が20年程度の事業プランであれば木造の方が適していると思います。しかし、ウッドショックにより木材価格が高騰しているため、一概にそういえなくなっているのが現状です。また、木材価格の高騰により、木造建築で進められていたプロジェクトが鉄骨造へ変更されるケースも増えいます。一旦進めていたプロジェクトを変更する為の計画変更申請手数料や変更図の作図代、建物(施設)を建築後に施設を運営する事業者に(土地建物を)貸す計画を立てた施主様は地代や家賃収入にも関わってきます。ウッドショックにより鉄の需要が増え、鉄の値段も上がってきており、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、他の建築工法にも価格上昇の影響が出ています。

3.工程面への影響

プロジェクト工程面での影響です。木材の需要が高まっているなら早く木を伐って供給を増やせばいいのでは?と思いますが、木を伐り出したからといって直ぐに建築用材として使うことはできません。建築用材として使用するには、製材をしその後乾燥させる工程が必要です。乾燥させた木材を乾燥材といい、乾燥材には人工的に乾燥させる方法(KD材)と自然乾燥させる方法(AD材)があります。KD材は数週間、AD材は半年から1年以上の乾燥期間が必要になり、どちらも伐り出してから製材するまで時間を要するのです。乾燥させていない木材をグリン材といい、乾燥材よりも安価で伐り出してから乾燥させる時間を要しませんが、数年後には乾燥に伴う収縮が起こり建物の歪み等によるトラブルが発生する可能性があります。その為、グリン材は乾燥材に比べ使用割合が少なくなっています。このように木材の需要が高まったからといって急に供給量を増やすことが出来ないのです。私が担当するプロジェクトでも乾燥材の確保が難しく当初の予定より3ヵ月程遅れが生じました。幸い、当初の計画内容通りの木材が確保できた為、工法変更による再設計には至りませんでしたが、もしも設計変更が生じていれば3ヵ月の遅れでは済まなかったと思います。今後、設計契約を予定していた木造のプロジェクトについては、鉄骨造に変更した場合のプラン作成や工事費の概算を再見積りするなど、契約や着工時期の遅れにも繋がる可能性が出てきています。

4.今後の見通し

日本木材輸入協会は「アメリカの住宅市場は低金利を背景に好況が続くとみられ、2021年中は輸入材の供給不足が続く可能性がある」としています。アメリカ国内では、住宅価格やリフォーム価格があまりにも高騰したことで住み替えを控える動きが出てきているようです。その為、木材の先物価格は値下がりしてきているようです。とはいえ、日本国内のウッドショックによる価格の高騰は、しばらく続くのではないかと思います。アメリカの木材価格が安定し早期に沈静化していくことを願うばかりです。

5.まとめ

現在開催中のTOKYOオリンピックでも、日本が伝統的に培ってきた木材の加工技術をアピールしたり、新たに建てられた競技会場にも木材が多く使われています。私自身も日本の木造建築というものは今後も大切にしていきたいと考えています。その為にも早くウッドショックが収束して欲しいと思います。現在ワクチン接種が進んでいるとはいえ、新型コロナが収束する見通しはまだたっていません。コロナ禍が長引けば長引くほど、今後もウッドショック以外にも建築業界への影響が続いていくと予想されます。在宅の機会が増える事で家電の需要が急増し、半導体の製造が追い付かずエアコンなど設備機器も手に入りにくくなってきたり、鉄の需要が高まった為、高力ボルト(鉄骨建築に多く使用されている、部品と部品をつなぎ合わせる重要な役目を持ったボルト)も手に入りにくくなってきています。新型コロナの長期化によりどんな問題が起こるのか予想が難しい環境下ではありますが、常に多方面にアンテナを張り、問題発生時の対応を迅速に行うようにしていきたいと思います。