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2021/05/21 |  社員ブログ

「所有者不明土地」の現状と今後

 私は、土地所有者に、土地活用のご提案を行っています。その中で、土地所有者の登記情報を取得し、アプローチを行っていますが、近年、空家となった建物や既に亡くなった方の土地の住所や名義が変更されていないケースが、多くあります。所謂、「所有者不明土地」と呼ばれ、登記情報を見ても、現在誰が所有しているかが分からない土地を指します。
 国土交通省の2017年の調査によれば、全国の土地の20%が所有者不明土地です。不明な理由として、相続登記の不備が66%、住所変更をしていないということが残りの34%を占めます。こういった物件は、社会問題としてニュースで取り上げられる事が増えています。登記が、昔の表記で現在の住所と異なる場合、ある程度は調べる事が可能ですが、名義変更がないとお手上げになる事もあります。では、実際にどのように調べるのかという方法と所有者不明土地についての現状と今後を少し纏めてみました。

- 目次 -
CONTENTS

1.所有者の現住所を探す

私は、気になる[土地・建物]の所有者に、アプローチする場合、登記情報を検索し、所有者事項を確認します。ここでは、現在の登記上の所有者が分かりますが、問題は、検索した物件の所有者の住所が、旧住所(明治、大正時代、昭和初期に使われていた地名や住所地)で登録されたまま、一度も変更されていない場合です。旧住所は、管轄する市役所の資産税課や法務局等で、今の住所のどこに該当するかを確認出来ますが、既に転居されていたとすると、近隣の方に直接訪問し、世間話をしながら、今現在どこにお住まいなのか、息子や娘さんが、お近くにいらっしゃるか等を確認します。法務局でも、近隣に出向いて確認しても満足な情報が得られなかった場合、最後は、最寄りの郵便局へ連絡し、旧住所が今のどの住居表示に該当するかを確認する様にしています。郵便局は、明治時代から存在し、昔の町名や地域について詳しい為、たまに分からない旧住所が、判明する事もあります。また、インターネットで土地所有者の個人名を検索すると、情報がヒットする事もあります。例えば、会社の代表者であったり、病院の医師であったり、通っていた大学の同窓会通信など、その人が関わりある情報を得る事もあります。最後まで、諦めなかった事で、今まで、他の営業マンが辿り着かなかった所有者に面談できた事も数回経験しました。面談しても、話が前向きに進まない事がありますが、粘り強く探す行為そのものが大事だと思います。

2.相続登記の義務化と罰則の制定

土地所有者が亡くなった場合、一般的にその土地を親族間で相続しますが、中には、相続時に従来の登記情報を更新しない事もあります。
 相続人は相続の納税を、相続が発生してから10ケ月以内に行いますが、登記上の住所や所有者の変更していない多くの理由は、相続登記は任意であり、しなくても何の罰則も罰金もないからです。
 この、問題を解決する為に、政府は、2021年3月5日に閣議で民法など関連法の改正(案)を決めました。それにより、今後は所有者不明土地に対して、新しい活路が見出される事になりました。 
 今回の法改正(案)では、適正な登記を全国的に促す為、不動産登記の制度を改正します。その法改正(案)の中身は、相続は3年以内、住所氏名の変更は2年以内に、登記変更を義務化し、違反した場合は、過料を科すというものです。
 また、維持管理が厳しくなった土地を放棄して、国庫に返納出来る制度を新設し、全国で多数存在する所有者不明土地の解決に、ようやく国が動き出しました。

3.相続登記の義務化が施行されれば

新たな法改正(案)では、今まで面倒であった相続の手続きを簡略化し、相続人が複数いる場合、そのうちの1人が、単独で申請出来る様にして負担を減らす様になります。法務局は、住民基本台帳ネットワークを使い、亡くなった人の情報や住所変更が分かる様にして、登記官が死亡情報を職権で閲覧したり、相続人の同意を前提に、住所を変更したりできる内容に変わります。今まで土地所有者が不明で、特定出来なかった場合でも、改修や売却が出来る制度を創設し、裁判所が確認した上で公告し、土地の利用目的も所有者複数の場合、他の共有者の同意で変更できる様になります。
 今後は関連法案を成立させ、公布後2年以内の施行が見込まれています。これで今まで、空家や土地所有者が特定されず野ざらしになっていた土地も、近い将来、新しく生まれ変わる可能性が出てきました。今後は、相続登記の義務化により、多くの提案が可能な土地が増えるのではと期待しています。

4.まとめ

所有する不動産が、何も利用していない土地であれば、理由はどうあれ、「不動産」が、「負動産」になってしまいます。いわゆる「宝の持ち腐れ」です。土地の利用方法は様々です。貸主(売主)と借主(買主)の双方に喜んで貰える提案をする事とその不動産をどう活用するか?その土地が持つポテンシャルを、最大限に発揮させる提案をする事が、私の仕事と考えています。土地所有者は、土地を所有しているからこそ、貸す・売る・活用する選択肢があります。私は、何も使っていない土地を見た時に、時々「活用できる土地で何もしないのは、勿体無い」と思ってしまいます。ひょっとしたら、そのままにしている理由の1つが、「所有者不明土地」である事で、どこからも何の提案もなく、所有者自身もその利用方法が、分からない為、そのままにしている事もあるのではないか?と私は考えます。
土地活用に関する事、活用に関する色々な相談の窓口として豊和開発を是非、ご用命頂ければと思います。    【営業本部 松山】