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2020/07/17 |  社員ブログ

保育園の設計

私は、介護施設や保育園を多く設計施工している企業の設計士として保育園の設計業務を数多く行っております。今回は、保育園特有の計画内容や納まり等をご紹介したいと思います。※「収まり」建築用語で、物と物との接合の仕方や取り付け方や仕上がり具合などの事を言います。

- 目次 -
CONTENTS

1.コンセプトの決定

まずは施主(発注者)と、どのような保育園にするか話し合い、コンセプトを決めて行きます。「園庭をメインにした保育園」や「光あふれる保育園」等施主の理想空間をお聞きします。設計の立場から法令や条例を鑑みながら施主のイメージをプラン図、パース図(建物の外観・間取りを立体的な絵にしたもの)に表現し、打ち合わせ時にそれらを織り交ぜながら全体のイメージを固めて行きます。ひと昔前の保育園というと、動物や魚、アニメやマンガなどがモチーフになり、可愛らしさが求められましたが、最近ではデザイン性を求められる場合が多く、設計者としての提案能力を試される機会が多くなってきたと感じます。

2.基本構想・基本設計「計画内容について」

基本構想・基本設計段階では、建築基準法及び関係法令に則って建物ボリュームの大枠を決めて行きます。ボリュームとはその敷地にどのくらいの大きさの建物が建つのかを指します。建物の配置計画を行う際は、園庭を日当たりの良い南側に配置する事や遊具やフリースペースの配置、動線など考慮しながら計画を進めて行きます。また、注意深く検討する項目に音の問題があります。保育園特有の「園児の声がうるさい」等の近隣トラブルもありますので、そのあたりにも配慮しながら、園庭・建物等の配置計画を行います。隣地との関係上、園庭と住宅が向かい合う場合は、園庭と近隣住宅との境界に防音壁を配置するなど少しでも音が漏れない様に計画したり、建物の配置検討時に隣地建物との離隔を確保したり、隣地に向けて窓や扉、出入り口等の開口部を設けない等の配慮を行う時もあります。プランニングに関しては、園児の安全性及び職員の動き易さなども慎重に検討し、双方の動線交差が起きない様、また避難経路なども考慮しながら安全な建物になるよう計画して行きます。

3.実施設計(詳細検討)と「収まり」について

実施設計段階では、基本設計で出来上がったイメージを、より具体的に必要な仕上げ、工事内容を指示するための図面(実施図)を作成していきます(詳細設計・詳細図)。実施図面を通して素材や構造まで細かく指示して行くのですが、私が保育園の実施設計を初めて行った際に驚いたのが、保育園の「収まり」についてです。「収まり」は物と物との接合の仕方や取り付け方や仕上がり具合などの事を言いますが、保育園ではこの収まりについて、「角は作らない」というセオリーがあるという事です。保育園では様々な部位の角を無くしています。例えば、壁の出隅(でずみ)部には丸く加工した形状のコーナー材を下地に設置して園児が衝突しても怪我をしない様に配慮しています。造作家具(作り付けの家具)には、角がある場所を無垢材(丸太からその形を切り出した物)を使用し、丸みのサイズを自由に設定できるようにしています。また、各部の仕上げ材についてですが、床にはクッション性のあるシートを、壁には傷や汚れ対策をした腰壁を、天井には吸音性の高い岩綿吸音板を採用する等安全性及び機能性に配慮して素材を選定して行きます。私自身、デザインと機能性を融合するのに日々悩まされています。日頃からアンテナを立てて、様々な建築作品を参考にしながら知識と感性を磨いて行こうと思います。

4.最後に

この記事を書いている現在ですが、新型コロナウイルス感染症の問題で世間が騒がれており、その影響から設計時の衛生ラインの見直しや各仕様についての再検討等に追われています。建築設計はその時代の社会の影響を大きく受けるものと感じました。また待機児童問題など社会問題についても考えさせられながら日々の設計を行っています。暗い話題が多い中ですが、世の中のお父さんとお母さんの生活の負担が少しでも軽減できるように、また子どもたちには、大人になって少しでも良い思い出に残るような建物(空間)となるよう、素敵な保育園を設計できるよう業務を行っていきたいと思います。【設計監理部:谷口】