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2024/04/26 |  社員ブログ

給与計算担当者として必須!「定額減税」についてまとめ

豊和開発で経理を担当しております木村と申します。
今回の定額減税ですが、給与所得者分については、源泉徴収事務をしている事業主→つまり企業の給与計算担当者が実務を行う必要があり、私と同じく、具体的にどうするのか、準備すべきことは?など、やきもきしている担当者の方が多いのでは?と推察しております。
昨年末、「給与計算担当が対応する必要あり」という情報を得てから、その後どうなるものか、と思っていたところ、法案が可決し、いよいよ具体的に進めていく必要が出てきました。
現状、わかる範囲ではありますが、定額減税について、どんな手順で手続きがされるのか、自身は恩恵を受けられるのか、など給与計算担当者でなくてもわかるようまとめておりますので、もしよろしければ参考になさってください。

- 目次 -
CONTENTS

1.定額減税概要

「定額減税」と言っておりますが、正しくは「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」といい、令和6年に実施される1度きりの経済対策です。

■対象者
令和6年分所得税の納税者である居住者で
令和6年分所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人
(住民税については、前年の合計所得金額が1,805万円以下である人)

■減税額
次の金額(①と②)の合計額
①本人分(居住者)40,000円
②同一生計配偶者及び扶養親族(いずれも居住者)1人につき40,000円
例)同一生計配偶者有 扶養親族(子2歳)、扶養親族(母70歳)→本人分、同一生計配偶者分、扶養親族2名分 計4名分×40,000円=160,000円減税
※同一生計配偶者とは
生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が48万円以下の人
※定額減税における扶養親族とは
所得税法上の控除対象扶養親族だけでなく、16歳未満の扶養親族も含みます。

2.事務担当者とすべきこと(所得税)

まずは、給与事務(源泉徴収事務)担当者がすべき大まかな手順として
所得税減税分については、令和6年6月以降「月次減税事務」を行い、
年末調整を実施する時期に「年調減税事務」を行うということになります。
これをさらに具体的に時系列でまとめると
①対象者の確認
令和6年6月1日現在甲欄適用者が対象
②月次減税額の計算
令和6年6月以後、最初に支払う給与等に対する源泉徴収税額から月次減税額を控除する必要があるので、月次減税額を計算しておきます。
→令和6年分の扶養控除申告書の情報をもとに月次減税額を計算しますが、扶養控除申告書の内容と今回の月次減税額に含める人数とに相違がある場合、今回、用意された新たな様式「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」の提出でもって確認する、ということになります。
③令和6年6月以後、最初に支払う給与等に対する源泉徴収税額から月次減税額を控除する(控除しきれなかった場合は、次の給与等から控除・・・と順次控除していきます。)
合わせて、「各人別控除事績簿」を作成し、書式の名前の通り、各人別の月次減税額の控除状況を明らかにしておきます。(記録に残しておきます。)
④給与明細への明示
月次減税額の控除を行った場合は、減税額がいくらかというのをわかるよう、別途記載する必要があります。(もしくは別紙で作成して添付)
⑤源泉所得税の納付
納付書に記載するのは、月次減税後の額で、「年末調整による超過税額欄」は使用しません。
③~⑤を繰り返し、年末調整をする時期を迎えたら・・・
⑥年調減税事務を行う
年調減税事務では、年末調整時点での定額減税額に基づき、年間の所得税額との精算を行います。
年調減税事務を行う対象者は年末調整の対象となる人ですが、合計所得が1,805万を超える見込まれる人は「対象外」です。

※注1
月次減税事務では、合計所得が1,805万を超えると見込まれる人であっても対象として月次減税を行いますが、年調減税事務では「対象外」となります。
※注2
年調減税事務でまとめて減税すれば良い、という方法は認められておらず、必ず月次減税事務を行い、年調減税事務を経て年税額を精算という手順を踏む必要があります。

3.事務担当者としてすべきこと(個人住民税)

個人住民税分の減税において、給与事務担当者が特別することはありません。
令和6年5月頃から順次、市町村から特別徴収額決定通知書が送られてきて、令和6年6月より住民税の特別徴収を実施しますが、特別徴収額決定通知書に記載されている住民税は「定額減税分調整後の額」となっておりますので、例年同様、特別徴収額決定通知書の記載通り、特別徴収をして、預かった住民税額を納める、という流れになります。
令和6年6月以後に退職した場合は、次の就職先で特別徴収、または普通徴収に切替、もしくは一括徴収となりますが、特別徴収継続及び一括徴収は定額減税調整後の額となっていますし、普通徴収に切り替えるとなった場合も、市町村にて定額減税額調整後の納付書を送付してくれますので、退職者が発生した場合でも、給与事務担当者が定額減税の件で特別何かすることをはなく、いつもの通り処理を進めることになります。
ただ、注意点として、定額減税対象者については、「令和6年6月分は徴収せず、定額減税後の税額を令和6年7月分から令和7年5月分の11ヶ月に分割して徴収する」となっていますが、定額減税非対象者については例年通り、令和6年6月から徴収開始となるため、令和6年6月については、住民税を特別徴収する人、そうでない人で混在する可能性があります。

4.定額減税に係るその他注意事項など

一部、めざとい納税者から「住宅ローン控除」や「ふるさと納税」による税控除がある場合、定額減税の恩恵を受けられないのでは?という懸念もあったようですが、住宅ローン控除適用後の税額、またふるさと納税控除後の税額から調整されますので、恩恵が受けられないということはありません。
また、「納税額<定額減税額」の場合、差額については、別途「給付金」という形で市町村から本人に直接給付することになっております。

今回の定額減税については、一度きりの制度にも関わらず、事務担当者としてはけっこうな負担が発生します。もう少しわかりやすく単純に制度設計しても良かったのは?と思う面も正直ありますが、法案が可決された以上は粛々と準備を進め、間違いないよう処理していく必要があります。
インボイス、電帳法に続き、定額減税と経理担当者、給与計算担当者にとっては次から次へと業務負担が増えているような状況かとは思いますが、社員の皆さんのために今から準備を進めていきたいと思います。