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2025/08/22 |  社員ブログ

建築業界とAI

 私は、豊和開発(株)の設計監理部で日々建築設計業務に従事しています。
 私達の身の周りには、AI(人工知能)を活用したデジタル機器が多くあり、かなり身近なものになって来ているように思います。
 様々な業界でAIを活用した技術が使用されていますが、建築業界でも日々、AIを活用した技術が導入されてきています。
 他の業界同様に、建築業界でも人手不足が大きな問題のひとつになっています。

 AIの活用が人手不足や、労働環境の効率化・改善に繋がってきています。
 今回は、建築業界におけるAI技術の現状と、今後の展望について書いていきたいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.建築業界が抱える問題

まず、建築業界が抱えている問題点についてまとめたいと思います。先にも書かせていただいてように、

人手不足が問題の一つに挙げられます。人口減少や少子高齢化の影響によるもので、単純にマンパワーが足りない状況です。

また、熟練技術者の高齢化が進み、若年者の就業者が減ってきていることで、技術の継承が出来ない、

または、困難になってきています。そういった状況は、企業の後継者不足まで影響が及んでいるということも耳にします。

人手不足の問題対策として、外国人の力を借りて補うような動きもありますが、指示・指導する人材の不足や、

技術の継承の面でいうと長期的な目で見ると、根本の解決にはならないように思います。

 

次に挙げるのが、少しづつ時代の流れに合わせて改善が進んでいますが、労働環境の問題です。

意匠設計事務所では、短納期、長時間労働が当たり前のような業界の昔の風習が未だに根強く残っているように感じます。

そういった労働環境の改善が遅れていることが、若者離れの原因にもなっています。
次の項目では、このような建築業界が抱える問題の解消に繋がるAIの現状について記載してきます。

2.建築設計とAI

 意匠設計業務の中で、AIはどのように活用されて行くのでしょうか。建築設計で現状導入されているAIには、

自動化 CADやBIMとAIを組み合わせることで、配置計画やボリュームスタディなどの初期設計を自動生成するものや、

図面の自動生成 3Dスキャンや現場測定データから、2D図面をAIが自動で作成する技術が実用化されつつあります。

こういったAIの活用法は、設計プロセスの効率化につながり、労働環境や、人手不足により

CADオペレーターも不足している現状の改善に繋がることが期待されています。その他には、

環境解析、最適化 日照、風通し、騒音などをAIがリアルタイムで解析し、設計の品質向上に寄与するようなソフトも出来ているようです。

 

 最近の情報では、2025年5月に、株式会社ニュウジアという会社から、最先端AI設計支援ソフトウェアとして「AI建築設計ドロー」という商品が発売されました。これまでの設計支援ソフトでは、補助的な使い方に留まっていましたが、このソフトでは、意匠・構造・設備を統合的に考慮しながら、建築設計の主要部分をAIが自動生成するところまで行えるようになっているとのことです。従来、数日~数週間かかっていた基本設計案の作成を最短5分でAIが自動作成するとされています。敷地面積や建築用途などの条件を与えると、それを踏まえた3Dモデルが作成され、平面図、立面図、断面図に加え、給排水、電気、照明、暖房などの設備図面まで生成可能とのことです。

 

さらに驚くべきは、建築基準法、消防法、各自治体の条例といった複雑な法規条件もAIが事前に織り込み、

敷地を最大限に生かしたプランを提示するところまで出来ることです。

 

建築設計図を作成する上で欠かせないこれらの業務は、多くの時間と労力を必要とし、

ヒューマンエラーによる手戻りが発生しがちな難しくもあり、重要な部分です。

これが高いレベルで実用化されたという事であれば、非常に大きな設計支援効果を発揮されることが期待されます。

3.現場管理とAI

 働き手が不足しているのは工事現場でも同様で、現場管理業務にも、AIが活用されていっています。
工事の工程管理や作業進捗、資材納期などをAIが自動調整し、天気や遅延リスクも踏まえた計画案を作成出来るようになってきています。
工程管理と同様に非常に重要な安全管理支援については、作業員の行動データをAIが分析し、異常検知やヒヤリハットの記録・再発防止策を提案するシステムの実用化が進んでいます。スマートフォンやウェアラブルデバイスを併用し、行動データが収集され

AI支援に活かされてます。

 

現場管理業務で必須の、報告書・施工記録・その他書類作成の自動化、音声やチャット入力から日報・安全確認表などを自動生成したり、

現場写真から報告書を作成することも出来るようになっています。
実際、上記のようなシステムを、工事現場で導入・私用されているところを、よく見聞きすることが増えてきています。

4.まとめ

 ここまで書いてきたように、建築業界でも日々急速にAI技術の開発・導入が進んでいます。

人手不足や技術継承、労働環境改善に役立つのは間違いありませんが、

これからの新たな課題についても考えていく必要が出てくるのではなかと思います。

 

それは、AIを管理できる人材の確保や、設計業務においては、人が為すべきことの役割と価値の確立です。

AI技術の発展と共に、私が携わる建築設計において、人だから出来る役割をどう見出していくか、

近い将来訪れるかもしれないその時の為に、日々自問自答を繰り返しながら、

普段の業務に努めていきたいと思います。