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2025/08/08 |  社員ブログ

ピラミッドはなぜ今も残り続けるのか~現代建築とのつながり~

エジプトのギザにはピラミッドが建っています。
教科書やテレビでよく目にするあの建築物が、今も砂漠の中に立っていると思うと、とても不思議な気持ちになります。

「どうしてこんなに昔の建物が、壊れずに残っているんだろう?」

建築の仕事に携わるようになってから、この疑問はますます大きくなっていきました。
私たちが今つくっている建物の多くは、数十年単位で建て替えられることもありますし、

使い方の変化に合わせてどんどん手が加えられていくこともあります。
建てる段階から、「いずれは壊すこと」まで想定されている建物も珍しくありません。
それに比べてピラミッドは、4500年も前に建てられたにもかかわらず、今もあのかたちのまま残っています。年月の桁が、そもそも違います。
なぜ4500年も残り続けているのか、現代建築との違いや、つながりはあるのか、掘り下げてみようと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.ピラミッドの構造と素材―何千年も崩れずに残る理由

ピラミッドがこれほど長い間、姿を保ち続けているのには、いくつか理由があるようです。

まずひとつは「構造」です。
あの三角形の形は、重力をうまく分散させることができるそうです。
上からの荷重がスムーズに下に逃げていくため、地震が少ない地域ということも相まって、

何千年という時間を支えてこられたのかもしれません。

もうひとつは、「素材」です。
ピラミッドの素材は花崗岩や石灰岩といった固くて風化しにくい石です。鉄やコンクリートのようにサビたり割れたりすることが少なく、乾燥した気候にも適していて、傷みにくいのです。

何十万個という石がモルタルや金物などを使うことなく、ただ積むだけて成立していることから、
現代の建築と比べて、ピラミッドの技術は驚くべきものであり、機械を使わずにこれほどの安定性を持つ建物を作り上げた古代エジプトの

技術者たちの知恵や、残すことへの強い意志がこのような「時間を超えて意味を持ち続ける建物」を生み出したのだと考えます。

2.「時間を超える建築」―現代建築にも共通する価値

現代の私たちにとって、建築は「暮らす」「働く」「集まる」など、日々の活動のための場所というイメージが強いですが、

よく考えてみると、そこにもピラミッドと同じように「時間を超えて意味を持ち続ける建物」の要素があるように思います。

ピラミッドは王の魂を天に導くために建てられた、神聖な建築でしたが、私たちが今つくる家や施設も、

「安心して暮らせる場所」「人が集まってつながる場」として、未来に残したいという思いが込められていることがあります。
そのためには、単に使いやすさや快適さを追求するだけでなく、その場所に「誰かの願いや祈りが込められている」という

意味を大切にする必要があります。
たとえば、家は家族の生活の基盤として、また図書館や学校、集会所などの公共施設は、地域のコミュニティの中心となり、長年にわたって使われることを想定されています。
これらの建物にも、時を越えて愛されるための「価値」や「意図」が込められているのではないでしょうか。
ピラミッドが持つ「永遠の命を象徴する建物」としての意味は、現代建築における「長く使われることを願う場所」へと、

形を変えて受け継がれているのではないかと感じます。

3.建物に込められた「残したい想い」―未来に残すための設計

設計をする上で、建物に込められるべき「残したい想い」について考えることは非常に重要だと思います。
ピラミッドのように何千年も残る建物は、今後もおそらく現れることはないでしょう。

しかし、私たちが設計する現代の建物にも、「未来に残したい」という思いが込められています。
例えば、家族が大切に使い続ける家や、地域に愛される公共施設。
これらの建物には、時代を超えて価値が保たれる力があります。
現代建築は、リノベーションや用途変更などの柔軟性を求められることが多いですが、

根底にあるのは「永続的に役立つ建物をつくりたい」という思いです。
ピラミッドと現代建築を比較するならば、その長さや規模は異なりますが、

「人々の生活を支えるために」「後世に残すために」という意図は、共通していると言えるのではないでしょうか。

4.まとめ

ピラミッドのように、何千年も前につくられた建物が今も残っているというのは、本当に驚くことです。けれど、それは決して

「昔の建物だから特別」なのではなく、「長く大切にされてきたから残っている」のだと思います。

私たちが設計する現代の建物も、最初から「永遠に残そう」と思って建てることは少ないかもしれません。けれど、家族にとっての住まいや、地域の人たちが集まる場所など、そこに込められた思いや使い方次第で、建物は少しずつ「特別な存在」になっていくのではないかと思います。

建築は、完成した瞬間がゴールではなく、
使う人たちが手を入れ、守り、引き継ぎながら、時間をかけて育っていくものだと感じます。

ピラミッドのように壮大な建物ではなくても、「この建物が好き」「ここで過ごした時間が大事だった」と感じてもらえるような場所を、仕事を通して増やしていけたらと思います。