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2025/06/27 |  社員ブログ

木造建築におけるプレカット

豊和開発では毎年多くの建物を建築しておりますが、近年の傾向を見ると半数以上が木造建築となっております。

その理由はさまざまですが、やはり、ここ数年の建築費の高騰により、鉄骨造やRC造よりも安価で建てる事が可能な点や、製造過程でのエネルギー消費が少なく、建設時のCO2排出量を抑えることができるという環境を配慮した結果、木造建築を選ばれることが増えています。
その木造建築の資材の中で「プレカット」と呼ばれる、建築業界に携わっていなければ聞き馴染みのない部材があります。
しかしこの「プレカット」は木造建築の中で、最も重要な役割を担う部材です。
今回は、この「プレカット」について、ご説明させていただきます。

- 目次 -
CONTENTS

1.プレカットとは?

木造建築は、建物の柱や土台、梁、筋交いなどの主要構造部に木材を使用した建築物で、古くから広く用いられてきました。従来の木造建築では、主要構造部を大工が採寸し、現場で手作業で加工して施工していくのが一般的でした。

しかし、それでは大工の手間がかかること、手作業で加工する為寸法に間違いが発生することなど、さまざまな問題点がありました。その問題点を解決したのが「プレカット」でした。
プレカットとは、従来大工が手作業で行っていた木材の加工を、専用の工場で機械を使って加工を行う技術です。最近のプレカット機械は、木造建築物の平面図や立面図等を基に加工データを入力し、その情報を加工機械が自動的に切削。寸法精度の高い柱や梁、筋交い、土台、羽板材、パネル等を生産することを可能にしています。
また、現場での作業が、プレカットの組立のみになる為、工期短縮に繋がります。
現在の木造建築においては、このプレカットを用いての建築が主流になっており、社寺建築など、手作業での加工でないと実現できない工法を用いた建築物などを除いて、ほとんどの木造建築でプレカットを採用しています。

2.プレカットの工程(打合せ~加工)

まず、プレカット材を発注する為に、設計者とプレカット業者で打合せを行います。構造図を基に、使用する木材の樹種、寸法、加工方法を決定していきます。
2021年頃に発生したウッドショック(木材不足)の時期には、指定した樹種の入手が困難になり、樹種を変更したこともありました。

現在ではそういった状況はほとんどありませんが、樹種の変更の際には構造設計者への変更の承認を得てから、樹種変更を行います。
また、寸法や加工方法については、プレカットされた部材が、現場でどのように組み合わさり、納まるか、ということの検証を行い、決定していきます。特に、部材同士の接合部や、壁や床などの他の部材との取り合い部分、屋根下地を壁よりもどのくらい外側に出すのか等といった納まりが、完成時の仕上がりにも影響する為、重要になります。
こういった検証を重ね、樹種や、寸法、加工方法の打合せを終えれば、いよいよ工場で加工していきます。
打合せで決定した内容を図面化し、加工データを作成します。その加工データをコンピューターに入力すれば、後はコンピューター制御された自動加工機で、木材を正確に加工します。
その後、加工された木材が、図面通りの寸法や形状で正確に加工されているか、製品検査を行い、出荷の準備を迎えます。

3.プレカット工程(出荷~建方)

加工し、製品検査をクリアすれば、出荷されます。しかし、製品が完成すれば即出荷というわけではありません。
現場の工程の進捗に合わせて出荷しなければ、現場内で無駄にプレカット材を置いておくだけという状況になってしまい、資材置場のスペースの確保も必要になります。
ほとんどの場合、上棟という最上部の屋根がかかる木材(棟木)を架ける日から逆算し、プレカット材の出荷日を決定します。
上棟を行う日はお日柄を選ぶ場合が多く、大安、先勝(午前中)、友引(お昼以外)が吉日とされ、仏滅を上棟日とすることはほとんどありません。
このお日柄も考慮しながら、上棟日を定め、それに向けてプレカット材の出荷日を確定させていくのです。
この上棟までの工程を「建方」といい、ここまではプレカット専用の大工が施工する工程です。
建物規模にもよりますが、プレカット材出荷から、建方を終えるまでの期間はおおよそ1週間程度で、プレカット材を使用しな場合は1ヶ月ほど時間を要します。その後、間仕切りや、下地を施工する造作大工の工程(木工事)となります。

4.最後に

ここまで木造建築における「プレカット」について説明させていただきました。工程短縮、正確な精度の構造材の作成等、さまざまなメリットがある「プレカット」ですが、プレカットが導入されたのは、1970年代といわれています。現在でこそ当たり前になってきていますが、プレカットが導入される以前の大工の苦労を考えると、頭が上がりません。
また、現在では「スーパープレカット」という、サッシの開口部や、階段など、より詳細な部材の加工を工場で行う技術もあります。
日々進歩している建築技術、次はどんなアイデアで、建築現場の効率化に影響を与えてくれるか、施工管理する立場としては楽しみでなりません。