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2025/05/30 |  社員ブログ

年末調整について

こんにちは、豊和開発株式会社で主に経理を担当しています村上です。
2025年となり、気づけば5月が終わろうとしています。最近は、一年が過ぎるのがとても早く感じます。
豊和開発株式会社の経理担当として行う重要な業務の一つに年末調整に関する業務があります。令和7年度税制改正において、今年の年末調整に関係する改正がありましたので、今回は年末調整について取り上げたいと思います。

- 目次 -
CONTENTS

1.年末調整の始まり

年末調整の始まりは、源泉徴収制度の始まりに起因しています。昭和4年に、世界恐慌が起こり、世界恐慌の翌年には大豊作となり農産物の価格が大幅に下落しました。続けて、翌々年には大凶作が起こったことで、農村全体に大打撃を与えました。これにより昭和7年には土地に対して課した収益税である、地租の滞納件数が80万件に達することとなりました。

また、大正時代から重化学工業が発達したことにより、工業地帯が生まれ、工場で働く人口の増加が起こり、所得税の納税者や納税額が増加しました。納税者の増加に伴い、滞納者が増えた為、昭和15年の税制改正において、税金滞納を未然に防止すること、納税の簡易化などを目的として、所得税の源泉徴収制度が導入されました。
しかし、この源泉徴収制度により、源泉徴収された所得税はあくまで概算額である為、1月から12月までに源泉徴収として天引きされた所得税の総額と1年間の正しく計算された所得税額との差を調整する必要が出てきます。これが年末調整です。なお、年末調整は終戦後の昭和22年、税務署職員の不足などから、会社が税額の精算手続きまで行うこととされました。
 

2.年末調整書類

年末調整の対象者は給与所得者全員ではありません。1年を通じて勤務している人、中途入社で年末まで勤務している人などが対象となります。なお、年の途中で海外へ転勤するなどして日本国内の非居住者となった人など年の途中で年末調整の対象になる人もいます。
年末調整の対象外となる例としては、その年の給与収入額が、2,000万円を超える人、2カ所以上から給与をもらっている人で、他の給与支払者に扶養控除等異動申告書を提出している人などです。

 

次に、年末調整の主な提出書類ですが主に以下の3つになります。

 

➀給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
 扶養控除、寡婦(夫)控除、障害者控除、勤労学生控除、ひとり親控除など各種控除を受けるための書類となっており扶養親族等がいない場合でも自身の基本情報を記入して必ず提出しなければなりません、この書類を提出することで源泉徴収税額の課税区分が源泉徴収額の少ない甲欄となります。

 

②給与所得者の保険料控除申告書
 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を受けるための書類です。

 

③給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書
名前の通り、基礎控除、配偶者控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除を受けるための書類です。

※なお、住宅ローン控除を受けるために提出する給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書という書類もあります。
仮にこれらの書類を提出しないと、年末調整が出来ないので、正しい税額計算ができず自身で確定申告を行わなければなりません。年末調整も確定申告も行わない場合、様々な控除を受けられないことから、正確な課税所得が計算されず、翌年の住民税にも影響を及ぼす可能性があります。

 

次は令和7年度税制改正のうち、年末調整に影響のある改正点について説明します。

3.令和7年度税制改正が年末調整に与える影響

年末調整に影響を与える主な改正点は、以下の通りです。

 

■基礎控除の見直し
当初の令和7年度税制改正にて、合計所得金額2,350万円以下の人の基礎控除額は、48万円から10万円アップの58万円へと改正されました。
しかし、その後、修正案が国会に提出され、令和7年分、令和8年分の所得税については、基礎控除の上乗せ特例が創設されました。
なお、令和9年分以降は、合計所得金額132万円以下であれば95万円、合計所得金額2,350万円以下であれば10万円アップの58万円となります。合計所得金額2,350万円超の改正はありませんでした。

 

■特定親族特別控除(仮称)の創設
特定親族とは、居住者(従業員本人)と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族であり、その特定親族の合計所得金額が58万円超123万円以下であれば、その特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて最高63万円を控除するというものです。
※従来の特定扶養親族の扶養控除を受けるための要件が収入金額103万円以下から150万円以下に引き上げられ、仮に123万円を超えた場合には、特定親族特別控除(仮称)にて段階的に所得控除を受けられるようになっています。

 

■給与所得控除の見直し
給与所得控除については、従来の55万円の最低保障額から65万円への引き上げられました。

 

■扶養親族等の所得要件の改正
上記の基礎控除の見直しに伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族等の要件である合計所得⾦額が48万以下から58万円以下となっています。

 

■保険料控除の拡充
23歳未満の扶養親族がいる世帯を対象に令和8年分から、保険料控除申告書の新生命保険料に係る一般生命保険料控除の適用限度額が、4万円から6万円に引き上げられました。ただし、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金の合計適用限度額は12万円で据え置かれています。

4.最後に

令和7年度税制改正でいわゆる「103万円の壁」が基礎控除と給与所得控除の最低額が引き上げられたことにより、「123万円の壁」となりました。

この改正に伴い、配偶者控除、扶養控除などの対象となる収入金額の基準も変更となっていることに留意する必要があります。

また、12月31日時点で19歳から22歳の被扶養者がいる人を対象とした特定扶養親族特別控除(仮称)が創設されたことで昨年までは、所得金額48万円(収入金額103万円)以下であれば63万円の所得控除、48万円(収入金額103万円)超であれば控除対象外だったものが、段階的に所得控除されるよう変更された為、年末調整業務がより煩雑になることが予想されます。経理担当者は、業務への影響の把握、どのように対応していくかという実務対応の準備を進める必要がありますね。