豊和開発 土地活用に
グッドアイデア

- コラム -
COLUMN

HOME › コラム › 法改正でどうなる??建築の省エネ基準

2025/03/14 |  社員ブログ

法改正でどうなる??建築の省エネ基準

近年、カーボンニュートラルや温室効果ガス排出削減の実現など、地球環境の保全が社会問題、世界的な問題となっていますが、我々の建築業界においても、この問題に取り組むために、『建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)』が制定されています。
そして、この法律が今年の4月に改正され、今まで適合義務が無かった建物にも適合義務が生じるなど、これまでの省エネの基準が強化され、建築物に対して、より厳しい省エネ性能が求められるようになりました。
では、この改正が私たちの生活や建築業界にどんな影響を与えるのか、簡単に見ていきましょう。

- 目次 -
CONTENTS

1.省エネ法って?

そもそも省エネ法とは何でしょうか?「建築物省エネ法」は、1999年に初めて建物のエネルギー消費を効率化するための基準として制定されました。その後、地球温暖化対策やエネルギー危機への対応として、法律は何度か改正されており、特に、2013年の改正では、建物のエネルギー性能を評価するための基準を厳格化し、エネルギー消費効率が高い建物の設計・施工を促進しました。
日本はエネルギーの大部分を輸入に依存しているため、建物のエネルギー消費を効率化することは、エネルギー資源の浪費を防ぎ、コスト削減とともに環境負荷の低減にも寄与する重要な課題です。省エネ基準の強化は、単なる法律の改正にとどまらず、建物に対する社会的責任や意識の変革を促すものでもあります。

2.法改正で何がかわるの?

2025年の法改正では、新築の建物に対する省エネ基準が一段と厳しくなります。具体的には、建物のエネルギー消費性能を評価する指標(例えば、一次エネルギー消費量)の基準が引き下げられ、より効率的な設計・施工が求められるようになります。これにより、建物のエネルギー消費を抑制し、エネルギーの無駄遣いを減らすことが可能になります。特に今までは、省エネ基準適合の必要が無かった小規模の建物や戸建て住宅にも適応義務が生じるようになりました。
これによりほとんどの新築建物に省エネ適合の義務が発生するようになります。
また、既存建物にも適用範囲が拡大されます。これにより、既存の建物リフォームや、改修に対しても省エネ基準の適合や設備更新が求められるようになり、長期的に見たエネルギー効率の向上が期待されます。また法改正では、「ゼロエネルギー建物(ZEB)(ZEH)」の普及が一つの柱となります。ZEB、ZEHとは、建物内で消費するエネルギー量が、再生可能エネルギーなどの自家発電によって賄われる建物を指します。このZEB、ZEHを促進するために国や地方自治体による支援も拡充される見込みです。

3.今後求めれられるもの

今回の法改正は単に建築業界の技術的な改正にとどまらず、社会全体に対して大きな影響を与えると考えられています。
最も重要な影響の一つは、環境負荷の低減です。建物はエネルギー消費の大きな源であり、その省エネ化は温室効果ガスの排出削減に直結します。特に、ゼロエネルギー建物の普及は、再生可能エネルギーの導入を加速させ、エネルギー自給率の向上にも寄与することが期待されます。
さらに、省エネの推進は、エネルギーコストの削減にもつながります。長期的に見れば、エネルギー消費が効率化されることで、建物の運用コストが削減され、所有者にとっての経済的負担が軽減されます。また、省エネ技術や設備の導入が進むことで、新たなビジネスチャンスも生まれ、関連産業の活性化が期待されます。また、この法改正によって、省エネ技術の研究開発がさらに進むことでしょう。建築物本体の省エネ性能を向上させることはもちろんですが、付帯する設備機器の省エネ性能を向上させることも必要となっていきます。これにより、建築業界だけでなく、様々な分野において、省エネ技術の研究開発が加速し、高度な省エネ技術を提供できる企業にとって競争力を高めるチャンスを得る事でしょう。

4.まとめ

今回の法改正を機に、私たちの建築業界においてもより一層、エネルギー消費を最小限に抑え、再生可能エネルギーを最大限に活用することが求めらるようになります。建築物は単なる居住空間にとどまらず、エネルギーの生産・消費において重要な役割を果たす時代が来ることが予想されます。今後建物の設計者は、環境に配慮しつつ、エネルギー効率を最大化する設計・運用が求められます。それにより、ゼロエネルギー建物やスマートシティなどの普及により、エネルギーの自給自足が進み、環境にやさしい持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。エネルギー効率の向上やゼロエネルギー建物の普及、デジタル技術の活用は、環境負荷の低減や経済的なコスト削減につながり、持続可能な社会の実現に寄与します。この改正により建築業界のみならず、私たちの社会全体がより良く、環境に考慮した持続性の高い未来へと向かうことが期待されています。