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2026/10/02 |  社員ブログ

贈与税の無申告はどうなる?罰則・時効・課税される財産を解説

親から子へまとまったお金を渡した、祖父母から孫へ教育資金を援助した、住宅購入のために親から500万円をもらった。こうした家族間のお金の移動は、日常的に行われています。しかし、「家族からもらったお金だから税金はかからない」「年間110万円までは何をしても大丈夫」と考えていると、思わぬところで贈与税の申告漏れにつながることがあります。
特に注意したいのが、贈与税の無申告です。申告すべき贈与を申告しなかった場合、後から本来の贈与税を納めるだけでなく、無申告加算税や延滞税などが加算されることがあります。さらに、財産を隠すなど悪質なケースでは、より重いペナルティにつながる可能性もあります。
ここでは、贈与税が課税される基本的な条件から、課税対象にならない財産、無申告が発覚する典型例、申告期限、罰則、そして「時効」と呼ばれる期間まで、項目に分けて整理します。

- 目次 -
CONTENTS

1.そもそも贈与税がかかるのはどんな場合?「110万円」の意味を正しく理解しよう

贈与税は、原則として個人から贈与によって財産を取得した場合にかかる税金です。現金だけではなく、預貯金、不動産、株式など、経済的価値のあるさまざまな財産が対象になります。なお、法人から財産を受け取った場合は、原則として贈与税ではなく所得税の問題になります。
一般的によく使われるのが「暦年課税」です。暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産の合計額から、基礎控除110万円を差し引き、残額に対して贈与税を計算します。したがって、たとえば父から80万円、母から50万円をもらった場合、合計は130万円です。
「一人から110万円まで」ではなく、その年に受け取った贈与の合計額で考える点が重要です。130万円なら110万円を超える20万円部分が課税価格の基礎になります。一方、父から毎年100万円ずつもらっているケースでは、各年について他の贈与を含めた合計額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。
ただし注意が必要なのが、最初から「10年間、毎年100万円ずつ渡す」という契約をしているケースです。このような場合、単純に「毎年100万円だから110万円以下」とは扱われず、契約した年に定期金に関する権利の贈与を受けたものとして課税される可能性があります。また、贈与税には「相続時精算課税」という制度もあります。2024年以後の贈与については、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が設けられていますが、制度を選択するとその後の贈与や相続時の計算に影響するため、「大きな贈与ならとりあえず相続時精算課税」という単純な話ではありません。
贈与税は、財産を渡した人ではなく、原則として財産を受け取った人が申告・納税する税金です。

2.贈与税がかからない財産とは?「生活費・教育費なら何でもOK」ではない

贈与を受けても、一定の場合には贈与税がかからない財産があります。
代表的なのが、扶養義務者から受け取る通常必要な生活費や教育費です。たとえば、親が子どもの大学の授業料をその都度支払う、生活に必要な家賃や医療費を負担する、といったケースが考えられます。国税庁も、生活費には通常の日常生活に必要な費用、教育費には学費・教材費・文具費などが含まれるとしています。しかし、ここには大きな注意点があります。重要なのは、「生活費や教育費という名目なら非課税」という意味ではないことです。
たとえば、親が子どもに「将来の大学費用として1,000万円」をまとめて渡し、子どもがそのお金を自分の銀行口座に長期間預金していたとします。この場合、必要な都度、生活費や教育費として使うために渡されたものとは異なるため、単純に非課税とはいえません。
国税庁の取扱いでも、生活費・教育費として贈与された財産について、必要な都度その目的に直接使うのではなく、預貯金したり、株式や不動産の購入資金に充てたりした場合には、通常必要と認められる生活費・教育費とは扱われないとされています。
たとえば、【親が大学の授業料50万円を学校に支払う】・【親が子どもの治療費30万円を支払う】・【親が必要な生活費をその都度負担する】といったケースと、「将来のため」として500万円を一括で子どもの口座に入れる→その500万円で子どもが株式を購入する→そのお金を住宅購入資金として使う。といったケースでは、税務上の扱いが変わる可能性があります。
このほか、一定の要件を満たす公益目的の贈与や、制度上の特例によって非課税となるものもあります。住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金などには一定の非課税制度がありますが、それぞれ適用条件や期限、手続きが定められています。
つまり、「親子間だから非課税」「教育目的だから非課税」と大まかに判断するのではなく、誰から誰へ、いつ、何のために、いくら渡し、実際どう使ったのかを確認することが重要です。

3.贈与税の申告期限と無申告が発覚するケースとその場合の罰則と時効について

贈与税の申告と納税は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに行います。たとえば2026年中に贈与を受け、申告が必要なケースなら、原則として2027年2月1日から3月15日までが申告・納税期間です。
では、この期限を過ぎてしまったらどうなるのでしょうか。
まず問題になるのが無申告加算税です。国税庁によると、自主的に期限後申告をした場合には、原則として納付すべき税額に5%を乗じた無申告加算税がかかります。税務署からの調査の事前通知後や、調査・決定を予知した後などになると、さらに高い割合になる場合があります。
2023年分以降については、調査による決定等を予知した後のケースでは、無申告加算税が、
・50万円までの部分:15%・50万円超300万円までの部分:20%・300万円超の部分:30%
という区分で計算される制度になっています。さらに、一定の繰り返し無申告などでは加算措置が設けられています。
さらに忘れてはいけないのが延滞税です。本来納めるべき贈与税を期限までに納付していなければ、納付が遅れた期間に応じて延滞税が発生します。つまり、無申告が発覚すると、本来の贈与税 + 無申告加算税 + 延滞税という形で負担が膨らむ可能性があります。
たとえば、ある人が親から500万円の贈与を受けたとします。ほかに贈与がなく、一般的な暦年課税を前提にすると、500万円から基礎控除110万円を差し引いた390万円が基礎控除後の課税価格です。
一般税率を使うケースなら、国税庁の速算表に基づく贈与税は、
390万円 × 20% − 25万円 = 53万円となります。
この53万円を申告・納税せず、後になって税務署から指摘された場合、53万円だけ払えば終わりとは限りません。無申告加算税や延滞税が加わるためです。
したがって、「申告を忘れていたけれど、税金の元本を払えば問題ない」という考え方は危険です。
そもそも贈与税の無申告はどうやって発覚するのか?「現金をもらっただけなら税務署には分からないのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、贈与税の無申告が発覚するきっかけは、必ずしも「贈与そのものを直接見つけられる」という形だけではありません。典型的なのが、不動産の購入や相続をきっかけに過去の資金移動が確認されるケースです。
さらに、贈与税の無申告について国税庁の資料では、贈与税の更正・決定等について、原則的な期間より長い6年の期間制限が示されています。
ただし、税務上の「期間制限」は、単純に「6年経過したら必ず何もできない」という意味ではありません。申告の有無、内容、特例、更正の請求などによって期間の考え方が変わる場合があります。
したがって、「贈与から6年逃げれば時効だから大丈夫」などと自己判断するのは非常に危険です。

4.まとめ

贈与税のポイントを簡単に整理すると、次のとおりです。
1.贈与税は、原則として個人から財産をもらった人にかかる。
2.暦年課税では、1年間の贈与額から110万円の基礎控除を差し引く。
3.生活費・教育費などは一定の場合に非課税だが、将来のために一括して預金するなどの場合は注意が必要。
4.申告期限は原則として翌年2月1日から3月15日まで。無申告になると、本税だけでなく無申告加算税や延滞税が発生する可能性がある。
5.無申告は、不動産購入、相続、金融機関の資金移動などをきっかけに発覚する可能性があり、「何年か隠せば大丈夫」と考えるのは危険。
特に注意したいのは、「家族間だから大丈夫」「現金なら分からない」「110万円以下なら何回でも自由」「生活費と言っておけば非課税」といった思い込みです。
贈与税は、実際のお金の動きだけでなく、贈与契約の内容や財産の管理状況、資金を受け取った後の使い道などを含めて判断されることがあります。
よって自己判断で「時効だから大丈夫」「非課税だから問題ない」と結論を出さず、贈与を受けた年、金額、贈与者、使途、銀行口座の動きなどを整理したうえで、税理士や税務署に確認することが安全です。